55歳で退職したおじさんのブログ

投資・副業・役職経験のない平凡なサラリーマンでした。贅沢しなければ辞めても暮らせる程度に貯まったので早期退職。「健康で文化的なビンボー生活」を楽しみつつ、旅行、沖縄、小説、アーリーリタイア、健康、メンタルヘルス、シニア、ライフスタイル、不動産購入、ブログ、日々の暮らしなど記していきます。

一度転職すると転職へのハードルが下がるということなど

                                               秋の上高地

 

 この季節になると、なぜかお久しぶりの人から連絡が来ます。

 転職とか…そういう相談が多いですね。経験者の私に相談して来る…ということは、その人は「転職経験がない」「大学を出て最初に就職した企業で勤務している」ということです。

 

 一方で、私は「転職組」になります。

 ポイントは何かというと、一度転職を経験すると、転職へのハードルが下がるということ。最初の転職の時は、さすがに決めかねる部分もあっていろんな人に「相談」したものですが、その後の転職・早期退職については、自分で決めました。人に伝える時は相談ではなく「報告」。私の中では決定事項でしたから、反対されても慰撫されても気持ちが変わることはありませんでした。

 

 私の場合、最初に就職した民間企業に4年勤めて、最初の転職をしました。

 ただ、転職と言っても引き抜きとかそういうものではないです。公務員試験を筆記から受けるので、転職というより「受験」。公務員試験を受けると決めた段階で辞表を出していましたから、試験に落ちていたら、無職の公務員浪人になっていたわけで、我ながら若かったなと思います。そんなわけで、転職や早期退職の相談を受ける時は「反対」から入ります。

 要するに「相談」の段階なら反対、「報告」の段階なら背中を押すというのが基本線。で、なぜ反対するかと言えば…。

 

 引き抜き・スカウトなど以外の場合、給与が下がるのが日本の転職の現実。

 「今の職場に定年までいても給与が上がらない」と言っても、「終身雇用×年功序列型企業」で、それなりの年齢になればそれなりの額にはなっているはず。でも転職すると「能力給の世界」で、商品としての自分の価値がシビアに評価されます。そこで、年功序列以上の給与が提示されるならば、転職した方がよいでしょう。

 また、「転職」と言っても、職業は変わらないことが多いです。会社は変わってもやっていることは同じということ。この場合、現実逃避型の転職ジプシーになる可能性があります。元々高い専門性を持った人でも、転職を繰り返すとマネジメント・スキルが身に付かないことが多いのです。そうなると、年齢が上がると給与が下がる…年齢を理由に退職を迫られるという状況になる可能性が高いです。あぶないです。

 

 公務員という終身雇用前提の世界にいると、「上司に言って辞めさせてやる」「お前、公務員辞めたら食っていけないだろ」という類の言葉を頂くことがありました。今なら立派なハラスメント案件ですね。こういう時、本当にびびってしまう人もいます。

 一方、転職組には「辞めろっていうならいつでも辞めますけど,、何か」「公務員辞めても食っていけますけど、それで」というマインドがあります。ですから、たとえば議員さんあたりが役人を支配して自分の意見を通そうとするような時、転職組に声がかかることがありました。「人柱」ですね。そういう役割も来るのが(日本社会の)現実。ただ、そういう現実を客観的に見て面白がるマインドがあると、仕事が楽しくなります。昨今言われる「レジリエンス」の一つなのかもしれませんね。

 

 というわけで、若い時に転職を経験してしまった人間は、「辞めろと言われてもやめないが、自分で見切りをつけるとさっさと辞める」という行動パターンになります。

 一方、終身雇用型価値観では、「自分から辞めることはないが、辞めろと言われると辞めないといけないのかと悩み始める」という行動パターンになります。

 ですから、早期退職の相談を受ける時は、まず「反対」から入ります。

 反対することで、その人の価値観が見えてくるのです。悩んでいる人も、自分の価値観に気づきます。そのことで、自分で考えて自分で決断することに進むことが多いです。

 

 個人的には、企業には「終身雇用×生え抜き」と「ジョブ型×転職組」とが半々というか、組織に相応しいバランスでうまく混じっていることが理想と思います。そのことで、優劣の価値観から解放されること、それぞれに内在する「生きづらさ」がなくなるといいな…と思う今日この頃です。