◆大卒者の生涯年収のこと
大学を出てサラリーマンになった人が、定年まで勤めた場合です。
22歳~60歳までの給与所得は約3億円と言われています。
これに対し、生涯支出は2.7億円。
差額の3,000万円が貯蓄として残り、これと年金とで定年後の人生を送るというのが、「終身雇用×年功序列」の日本社会の基本設計でした。
◆高校生は「成果主義」を望む
昨日、高校生とお話ししましたが、「働かないおじさんが高給を貰い、若手が安い給料で働くこと」に疑問を持っていました。「成果で給与を決めるべき」という主張です。
その一つの答えとして、「終身雇用×生涯年収」の考えを伝えました。つまり、薄給時代に働いた分は、年を取った時に帰ってくる。子供が義務教育を終え、教育費がかかる「高校・大学」に進学する頃、給与が上がってくる。この仕組みですね。
もう一つは、終身雇用の中にも成果主義はあるということ。昇進ですね。
ただ、こういう返答は「若手を見下す年寄り的なもの」です。説得力は弱いです。
はい。
◆給与・やりがい・成果
高校生は、無意識に「有名大学に進み、大きな企業に勤める」という仮定の中で将来を考えています。つまり、自分が知っている大学、既存の職業、名前を聞いたことある企業で働くと思い込み、その範囲内で未来を考えているんですね。
そうなると、上のような不満が生じるでしょう(笑)。
で、この枠組みに気づき、離れて思考してみました。成果が確実に給与として反映される「人生・仕事・自己の能力」を考えてみよう! というわけ。出てきたのは、
「やりがいやモチベーションを持てないけど、給与は良い」
「やりがいど真ん中だけど、給与は低め」
という選択肢。
要するに、今の世の中って、やりがいやモチベーションを保ちにくい労働環境があるんでしょうね。「過剰なルーティンワーク×事務作業」「過剰なトップダウン×個人犠牲」が強いられる労働環境では、給与しかモチベーションになりません(笑)。
もちろん、それでも「給与優先」という考えもあります。稼いだ給与で、自分の好きなことをするという発想ですね。
一方で、「やりたいこと優先」という考えもあります。給与は低くても、定年がないとか、自分のスキルを磨くことで組織を離れても生きていけるとか、そういう発想ですね。
そんなことを、高校生と一緒に考えていました。
◆無意識にパターン化された発想に染まっていることに気づく
成果主義にすべきとか、年功序列は不公平とか、起業だ! とか、そういう発想にとらわれていることに気づくとよいのではないかと思います。
会社員がダメとか、フリーランスがよいとか、そういう発想も先入観ですよね。
さまざまな先入観から離れて、自分自身が本当に興味のあること、求めていることに向き合う方が先のような気がします。世間より自分です。
昨日は、そんな結論になりました。
そんなことを高校生と話しながら、「安定性が高い公務員」から「早期退職したフリー」になるという、世間的にはかなり「振り切った人生」を送っているんだな…と感じました(笑)。個人的には、早期退職した今が幸福です。