20代の後半で、民間から公務員に転職しました。
お金のことに疎く無頓着だった私ですが、公務員の給与の安さに驚きました。
「バブル期×一部能力給」だったとはいえ、民間入社3年目の冬の賞与は額面で3桁に乗っていました。それが、公務員になって半分以下になりました。20代の年収を上回ったのは40代半ばですが、それは額面のこと。
ねんきんネットを見ると、現在までの所得をすべて見ることができます。
人事院勧告や財政縮小による給与カット、震災復興基金の天引き、社会保障費の増額、公務員年金の廃止、昇給ペースのダウン(能力給の導入)などなどがあって、40代以降の給与は額面では上がっても、手取りは減少。「若い頃はがまんしなさい。ある年齢になると増えるから」と言われていましたが、「ある年齢」になった時、給与カットが始まったことがわかります。
その後、転職×早期退職と進むと収入はどんどん減っていきます。
公務員とか有名企業とかには「安定」という神話があります。
入社から退社まで「給与が上がり続ける」という神話ですね。
ちなみに、国内企業の給与額トップ10社の勤続年数の平均は20年に達しません。
恵まれた報酬の先にあるのは、給与は下がっても自分の時間を取るか、そこで磨いた能力を活かしてジョブ型転職するか、起業するか…の選択。この状況は、公務員にも増えてきました。
私の世代以上の方には、就職したら定年まで「給与は上がり続ける」という無意識の思い込みがあるような気がしています。この先入観から離れないといけないと思います。「給与が上がり続ける仕組み」には批判が多いのです(笑)。
そして、この批判は「経営者」にとっては大変都合がよく、能力給という名の給与カットや、ジョブ型という名の非正規雇用が進んできました。
高校生に対するキャリア教育教材を「お金」の面から見直すと、ここに従来と異なる状況の説明が必要になります。
従来は、若い頃は安い給与でも頑張れば、あとから上がってくるからでした。
今は、若い頃に能力給でがっちり稼いで、そのお金を貯めておけです。なぜなら、年を取ると給与だけでなく、雇用や住まいの確保も難しくなるから。お金も貯めるだけでは目減りするから、投資して増やせもついてきます。
あと、終身雇用の場合「定年退職~年金受給」の間に「無職・無収入期間」もしくは「非正規期間」が生じます。この期間が約5年。生活レベルを下げても1,000万円以上は使ってしまうでしょう。
そうなると、「新卒一括採用~企業内でスキルを身に付ける~定年まで働く」で終わりではなく、「スキルや専門性を身に付ける~ジョブ型転職・起業」という能力を蓄えることまで考えておかないといけません。
現在の私は、収入は微々たるものですが、専門性を少し活かして定年のない働き方になっています。そして、収入に生活サイズをあわせることで、何となく暮らせています。世間的には「転職×早期退職の典型的失敗例」であり、負け組であることは認めますが、「早期退職することで定年がなくなった」のは大きいです。自分の努力しだいで、「無収入期間」をなくすことができますから。
年齢と共に心身の能力が低下し、それにあわせて収入も減ってくる…。
それは老後の問題ではない。20代でもあり得ること…という現実が日本にやってきました。安定という先入観から離れることを起点に、自身のキャリアを考え直す教材をと思っています。
その前に、今のお仕事進めます。そんな今日この頃。