55歳で退職したおじさんのブログ

投資・副業・役職経験のない平凡なサラリーマンでした。贅沢しなければ辞めても暮らせる程度に貯まったので早期退職。「健康で文化的なビンボー生活」を楽しみつつ、旅行、沖縄、小説、アーリーリタイア、健康、メンタルヘルス、シニア、ライフスタイル、不動産購入、ブログ、日々の暮らしなど記していきます。

知識は少ないが正義感は強い

 

 世の中には、どうしても何か言わないと気が済まない人がいます。それが個人の自由の範囲内であれば問題ありません。ただ、それが組織や集団の判断を支配するようになるとちょっと…となります。

 

 公務員時代、教育委員会にしばらく所属していました。例えば教員の不祥事が東京都内の私立中学校であったという報道があると、翌日、地方の県の教育委員会にそのことに対する怒り・クレームの電話が入ります。これは、特殊な事例ではなく、あるある。

 学校現場では、生徒さんたちが先生に「質問」をするそうです。「昨日、東京で学校の先生が逮捕されましたよね」と。もちろん、生徒さんが在学している学校のことでも、県のことでもありません。先生も生徒も知らない人が逮捕されたというニュースです。一応、質問という形式をとっていますが、真意は責任を取れなんですね。お前も先生なんだから、一緒に責任を取れ、責任を感じろ、謝罪しろ、先生を辞めろです。

 

 事件・不祥事・トラブルがあると「何か言わないと気が済まない人」というのは、年齢に関係なく存在するんですね。で、これを受ける側には精神的なダメージがあります。時間的なロスも発生し、業務に影響が出ることもあります。セオリーとおり反論などをせずお話を聞き続けて、気が付くと就業時間を過ぎていたこともあります。

 

 やがて、このような人の特徴に気づきました。

 「知識は少ないが、正義感は強い」です。

 その人が無知というわけではないです。ええと、世の中には専門性の高い職業・分野があります。先生もその一つですね。医師もそうです。で、専門性が高い分野は、「何か言わないと気が済まない人」のターゲットになりやすいです。

 実は、専門性が高い分野ほど「正解はない」「完璧はあり得ない」です。そういう意味で「失敗を前提とした発想」も重要です。このあたりの価値観・発想・方法論に専門的知見の特徴がでます。

 しかし、「知識は少ないが、正義感の強い人」は、「完璧を求める×失敗を許せない」のですね。専門性が高い分野・専門家には「失敗がない」という思い込みもあるようです。いわゆる「プロなんだから」ですね。

 というわけで、「その人にとっての言いたいこと」は、専門家側からすると「クレーム」という受け取りになります。99%うまくいったことでも、1%について数時間意見を述べられます。

 

 後日、危機管理の研修を受けた時、記者会見の鉄則に「知識はないが、正義感の強い報道記者に注意」というのがありました。そういう記者に誠意をもって対応しても、あまり効果がないんですね。誠意とは「問題の解決、情報の開示」なのですが、報道が求めるのは「責任の追及」。さらに言えば、記事はすでに書かれているというか、記事の結論はすでに出ていて、その内容を裏付ける言葉が欲しいだけ。つまり、質疑はかみ合わないんです。というか、かみ合わなくて当たり前なんですね。でも、かみ合わないことを「何か隠している・不誠実」と書かれ、事実と異なる結論が記事になります。

 そして、記事が出ると、なぜか関係者の個人情報が探られたり、根も葉もない人格否定的なうわさが広まることもあります。

 

 新年早々、いろいろ落ち着かなくなることが続きますが、今は、「餅は餅屋」という価値観を大切にした方がよいと感じています。

 親切や正義は大切ですが、今は押し付けない・振り回さないことですね。

 それが世論の中心となると、社会問題の解決が進まなくなります。

 私は、こんな時だからこそ、勉強を頑張ろうと思います。