◆早期退職直後の心身の不調は…
今思えばかなりしんどいものでした。
実際、2週間ほど入院しました。入院の目的は、内蔵数値の改善だけでなく、心のこともありました。要するに、人との接触を物理的に断ちつつ、看護師やカウンセラーなどと会話することで新たな日常を取り戻していくという感じでした。
原因は、最後に勤務した職場でのいろいろですかね。
公務員がお嫌いの方がいらっしゃって、結構目の敵にされたことや、目の敵にされても仕方のない私のポンコツさや、老父の介護などなど、いろいろ重なりました。
◆どんなことに憧れますか??
大人の憧れの対象には、「自分ができないこと」というパターンがあります。
私は、数学ができることに憧れがあります。ピアノやスポーツなども同じ。そのココロは、自分ができないことなんですね。そういうタイプの人が早期退職すると、落ち込みやすいかもしれません。
私が早期退職したのは、新型コロナの感染拡大が始まった4月。
その対応には関われませんでした。
そして、新型コロナの感染拡大をきっかけに、社会のシステムや働き方が大きく変わりました。その変化には、私が在職中に取り組んで未完に終わったものもあります。「自分ができなかったこと」が粛々と実施されているのをみるとちょっと落ち込むんですね。そこには、直前に早期退職したという「罪悪感」、コロナ対応に寝ずに取り組んでいるかつての同僚に対する「罪悪感」がありました。
◆早期退職生活は「正解のない問い」の連続です
55歳で早期退職しました。
振り返ると、世間的によくある「早期退職生活のイメージ・情報」に捉われていたような気がします。「過去の体験に基づいて思考するクセ」も強かったですね。
そして、早期退職前に想定していたことと、実際とはかなり異なりました(笑)。
仕事を手放せば楽になると思っていました。それはそれで楽にはなりました。しかし、主夫として日常を送るようになると、細々とした小さな決断がたくさんあり、今までとは異なる思考回路やモチベーション維持が求められます。これが結構しんどかったです。そもそも、貯めた資金で何とかなるはずが、どうなるかわからなくなりました。
こういう状況で、「辞めなきゃよかった」と思うこともあり、そんな時、「正社員での復職」のお誘いがあった時は、かなり心が揺れました。
◆正解のない早期退職生活を楽しめるようになったのは
最近ですね。松本への移住が大きかったと思います。
引っ越しを機に、もう一度生活を見直し、断捨離・ミニマリスト的暮らしを進め、家計を見直しました。四季の変化が豊かな信州で、桜・紅葉を目の当たりにしました。
つまり、経済の改善と季節を楽しむ暮らしができるようになって、心身が楽になってきました。「経済と季節」が暮らし中心となることで、「過去の記憶と古い価値観」を手放すことができるようになったと感じています。
そうなると、「正解のない未来をどうするか」「少し先の未来を現実にしていく暮らし」って楽しいです。しかも、お仕事とは違い、自分の考えと責任で実践できること、試行錯誤する時間がたっぷりあることがとてもいいです(笑)。
できないことに憧れる、気になる、何とか使用するという自分の思考のクセに気づいたことが大きいですね。
できることを、できる範囲で進めながら。
もうすぐ冬ですね。