テーマ「課題解決型のお仕事で難しいこと」
「正解はない」という表現は簡単すぎかもしれません。
「正解はひとつではない」
「既存の正解では解決に至らないので、新しい発想が必要」
「やってみないと分からないので、修正しながら継続する柔軟性が必要」
などの表現の方が、理解を得られるかもしれません。
◆目次
出来るかどうかはやってみないとわからない
◆この言葉に激怒する方は少なくない(笑)
年長者や社会的地位の高い方に多かったかな(議員さんとか…)
理由は「無責任」「公務員としての使命感に欠ける」など…。
本音は「自分の思惑通りに進まないことへの不満」のような気もしますが…
◆本当の結果が出るまでは10年はかかる課題でも「即効性」が求められる
こういう時は、データをひっくり返して「正解」を見つける必要があります。
つまり、まだ手がついていないか、現在進行形で成果が出つつある分野を引き出してプッシュします。
あんまり本意ではないですし、それが正解かはわかりません。
でもそうしないと、次のステップに進めないのが(悪しき)社会の掟でもあります。
人口減少・教育・福祉・医療などに内在する大きな課題に取り組む時…
◆プロジェクトメンバーの多忙をどうするか(課題)
例えば「人口減少対策」が立ち上がる時、各部署からメンバーが集います。
昔は「専属メンバー」でしたが、今は所属部署との兼任。市町村合併以降、人が足りないんです。
というわけで、兼任ですからメンバーの仕事量は2倍。プロジェクトのために転勤してきた私も、まず勤務先のルーティンワークを覚えることから。
一方で、プロジェクトへの(過剰)な期待もあるわけで、いろいろ思うことはありました(笑)。
◆クリエイティブな解決をどう導くか(解決のヒント)
プロジェクトは、各部署の上司が選んだメンバーで構成されます。
悪意を含んだ人事もあって、メンバーには「くせもの」が多いです(笑)。
ただ、そういう人の方が「解決を考える仕事」には向いていることも多いです。
また、新人か定年近くのベテランというバランスの悪い構成が、「地域の人々とのつながり」を与えてくれました。
若者は「地元の有名大学に進んだ努力の人」であり、所属部署で「使えない」とされた人は「地域の顔役」。何より、ベテランは同じチームの若者のことを産まれた時から知っているという地域の人間関係があります。ベテランが、若者をサポートするようになると、チームが回り始めました。
地域課題解決のヒントは、その地域にあるんですよ(笑)
印象に残るのは
◆30年で人口を1.2倍に増やすことを決定した街へ
人口減少に対し、人口増で対応することを「政策として決定した街」に赴任しました。
使命は「人口減少に対応する街づくり」を進めること。
今までで最も理不尽な転勤(笑)。
調べてみると「社会増」は期待できても、「自然減」が社会増を上回る。
となると、自然減の要因となる街の諸課題を解決することが、人口政策の共通項になります。
◆任期2年でできることは?
全体は、移住・定住などの「社会増」が優先になっていました。
そこで「教育・福祉・医療」の中から、地元の人に必要で、移住者にも魅力を感じられるものをピックアップ。
経済支援だけでなく、近くの大学と連携した健康相談・学習支援・子育て支援なども進めました。これらは新規事業ではなく、街が公的に実施しているもの、街の有志が行っている既存のものに参加してもらうことからになります。
軌道に乗ったら、小中高校の総合学習とリンクしてキャリア教育にします。
「地元を題材に社会課題に取り組み」「地元をもっと良くしたい」と思う若者が一人でも増えれば、それが「自然減」の抑止になるという発想。
ポイントは「優先度」より「実現度」が高いものから手をつけること。
◆これが正解かどうかはまだわからない
2年で離れました。支援策のいくつかは継続し、いくつかは消えました。
「人口を増やすことで街の課題を解決する」というスローガンはそのままです。
ただ、子供たちの「自虐的地元嫌い」が減り、大学進学を目指す高校生が「地元に戻って地元のために働きたい」と言うようになったそうです。
それは地域エリートである「役場の公務員」「大学進学を目指す成績上位の高校生」が地元の課題と向き合ってくれたことが大きいです。
彼らの言葉には大きな影響力がありますから(笑)
まとめ
1、プロジェクト型のお仕事は、その存在を認められないこともある
2、焦らずに、職場のルーティンワークから馴染んでいこう
3、解決のヒントは、地域と地元の人の中にある
4、すべての世代を循環する仕組みをつくることが未来への希望になる
という、個人的な昔話にお付き合いいただきありがとうございました。
思うのは、全国で公務員と教育・福祉・医療関係者が、理不尽と戦っているだろうこと。新型コロナではない「何か」によって日本が蝕まれつつあること。
何より、存在の認識も理解もない中で、既存の枠組みでは解決できない課題に立ち向かう人がいることを知って欲しいと思います。
(本部港から伊江島をのぞみます)