55歳で退職したおじさんのブログ

投資・副業・役職経験のない平凡なサラリーマンでした。贅沢しなければ辞めても暮らせる程度に貯まったので早期退職。「健康で文化的なビンボー生活」を楽しみつつ、旅行、沖縄、小説、アーリーリタイア、健康、メンタルヘルス、シニア、ライフスタイル、不動産購入、ブログ、日々の暮らしなど記していきます。

早期退職する=社会的にはマイノリティーになるということ

 

 昭和の学校にはクラスごとに「連絡網」がありました。

 臨時休校などの連絡があれば電話で伝言ゲームをするのです。もちろん「家電」。そして、クラスに1~2人くらいは「呼び出し=自宅に電話がない」という人もいました。また、クラス名簿には住所に加え保護者の職業も書かれていました。

 会社員の場合、企業名まで明記されていまして…「NHKの○○アナウンサーのお嬢さんなんだ」「○○の創業者の息子なんだ」とかバレバレ。今だと考えられませんね。

 その頃の日本は、会社員と自営業の割合が半々。

 現在は会社員が9割近いと言われています。会社員=雇用者ですね。ただ、コロナ以降副業やフリーランスが少し増えつつあるようですが、そんなでもないですね。

 

 さて、早期退職する人、組織からの雇用を離れて自営業になる人は、比率的には「マイノリティー」です。私も30年会社員をして、早期退職~地方移住~自営業と進んだマイノリティー。メディアでは早期退職・地方移住・起業がコンテンツとしてよく取り上げられますが、それは「少数派・マイノリティー」だから。リアルの世界で早期退職・地方移住・在宅ワークを実践・継続することに必要なのは、「マイノリティーである事実を受け容れ、その逆風に耐えるメンタリティー」と言えます。

 

 マイノリティーになって気づくのは、自分が「社会制度に該当しにくい存在」であること。たとえば「会社員時代にはあった救済措置」が自営業者になるとない…。

 ちなみに、役所の窓口で暴れる人は「社会的マイノリティー」に所属する人が多いです。一般的と考えられている権利・制度・救済措置にあてはまりにくいのです。海外でも国内でも「移民(外国籍の方)」によるデモがありますが、それはそういうこと。

 

 私の場合、この年になって大学に入って学び直したり、読書に耽ったりするのは、そういう時間が確保できることに加え、マイノリティーになって物事の見え方が変化したことが大きいです。いろいろ気づくことが増え、疑問を感じ、根源まで遡ってその意味を捉えなおしたいと思うことが増えました。

 

 人口減少・少子高齢化が進む中で危険なのは、「年寄りは少数派」という無意識な思い込みでしょう。高齢者が少数派だった時代に作られた「高齢者=マイノリティーのための制度」は、救済措置ではなく、時限爆弾になりつつあります。

 現代の少数派は、子供・学生なわけで、こちらの充実が大切ということを年寄りに理解してもらうことなわけで、多数決では年寄りが勝ってしまう世の中でこれをどのように進めていくか…というと昔は「引退をまって世代交代」でしたが、今はそんな悠長なことはできません。

 

 先日、学習支援ボランティアに参加している高校から受験結果の連絡がありました。

 その高校としては久しぶりに「東大・京大・医学部・早慶ICU」などへの進学者が出たそうです。授業や受験補習が、「知識を詰め込むだけ」にとどまっていたレベルから、「体験と知識とを統合して視野を広げ、考察を深める」レベルに進んだことが合格につながったとのこと。以前だと「受験に関係ないから無駄」とされていた学びが、実は「本質的な学び」であることに先生も生徒さんも気づいたとのこと。

 それは、「自身のマイノリティー性」への自覚と感覚から導かれた思考ではないかと個人的に考えています。そもそも、学ぶことが「権利」として保障されなければならないのは、学ぶ人が少数派で社会制度上の救済措置が少ないから。だから「ボランティア」が必要になる。

 学びを「受益者負担」と考える価値観もそろそろ何とかできないでしょうかね…。