大学受験はほぼインターネット出願になったようです。
中学・高校の受験でも、この動きが始まっています。
ネット出願が始まった頃、世間からは抵抗もありました。また、大学側もシステム構築がそれなりに大変で経費もかかりますから、様子見という状況もありました。
入試事務的には、ネット出願にするメリットは大きいです。たとえば、受験票1枚1枚を見て不備がないかを人の目で確認するのはそれだけで大変です。しかし、ネット出願であれば、受験生が入力する段階で不備の指摘ができます。これは、大学・受験生双方にとって大きなメリットですね。
というわけで、今ではネット出願が当たり前になりましたが、これを初期に踏み切った大学の目的は何だったと思いますか。
それは、ネット出願にすることで、インターネットスキルを持った受験生を集めるということです。そういう環境・スキルを持っている人材を求めているということですね。
入試段階では「手書き書類で出願」ですが、入学後は「レポート提出はネットで」になります。その時、「通信環境がない」「パソコン持ってない」「そんなお金はない」と言い出す人がいます。そういう人を減らすことができます。残酷な話ですが、そういうことです。
(もちろん、大学は学生さん一人一人にアドレスを与え、図書館などにPCを置いて、そこでレポート作成・提出ができる環境も作っています)
AO入試にも似たようなことがあって、この場合は「ジョブ型人材」が求められるだろうという背景に基づきます。
日本社会の「新卒一括採用」というのは、要するに「終身雇用を前提とした育成型人事」。この場合、一定以上の学力を持っていれば、あとは入社後にでOKです。大学入試で言えば「一般入試・学力選考」ですね。最後に面接が来るパターンです。
これに対し、「ジョブ型採用・ジョブ型人材」が求められるようになってきました。専門性と実績とを持った即戦力人材ですね。AO入試は、これの大学入試版と言えます。最初に面接があるパターンですね。
日本の大学入試は、「総合型選抜」の枠が増えていくようです。
総合型選抜というのは、いわゆる「推薦入試・AO入試」です。
今後、ジョブ型人材(専門性と実績とを持った人材)が中心になってくるということなのでしょう。理想は、「育成型・プロパー」と「即戦力型・転職組」とが半々になって、化学反応をおこしながら組織を活性化していくこと。だから「協働性」が重視されるとも言えます。
私は一応大学院まで出ているのですが…院卒の就職の困難さ…が話題になることも多いです。院卒って「ジョブ型人材」に近いのです。そのあたりで「終身雇用型社会」と不適合をおこす可能性って高いような気がします。私の周辺の院卒組に終身雇用で定年まで全うした人間は極めて少ないです。私もそうで、あげく早期退職までしているわけで、これは社会不適合者と言われても仕方がない(笑)。
これからの日本は、ジョブ型人材も評価されるようになるというか、終身雇用組とジョブ組とが共存できる社会になって欲しいですね。やはり「プロパー・生え抜き・生き字引」という人は必要ですし、一方で「転職・転勤・環境を変えることで生きる人材」というものあるわけで…。
高校時代に自分は「総合型選抜(推薦入試・一般入試」「一般選抜(一般入試)」どっちに適性があるか…を見極めるというのは、とても大事なようが気がします。この見極めをとおして、社会や組織の仕組みを学ぶこともとても重要と思います。
これからは、「競争に勝つ」よりも、「適応する」ことが重要。
ただ、環境に自分を合わせる適応は自己喪失につながる可能性もあります。「自分にあった環境を作る」「周囲から求められるスキルを身に付ける」ことも大切。
そんなことを考えながら、企業研修や高校の探究学習教材を作る日々です。