YouTubeのコンテンツに「移住系」があります。
信州移住を完了した人間ですが、でも、移住にはやはり興味があってよく見ています。なかなか面白いです。
で、沖縄移住1年以内の方が「移住のデメリット」について振り返るものを見つけました。
沖縄移住の難しさは、「移住者の60~80%が沖縄を離れること」にあり、その要因は「文化的・気候的な差異」と考えられてきました。
しかし、移住のデメリットに「沖縄生活はお金がかかる」という共通の主張がありました。私は、沖縄勤務時代「沖縄の物価の安さ」に助けられました。何といっても、沖縄の4年間で早期退職資金を貯めるペースが上がりました。そんな経験からすると「お金がかかる」は意外。そこで、いろいろ見ていくとこんな感じのようです。
1、沖縄も物価は上がっている
電気代やガソリン価格が上昇しているんですね。
私がいた頃、ガソリンは本土より20円以上安かったです。ほぼ一年中エアコン冷房と除湿器とを稼働させていても、電気代は都内暮らしとほぼ変わりませんでした。つまり、使用量に対して「割安感」があったのです。
しかし、電気とガソリン価格が上昇すると、沖縄生活に欠かせない「冷房・除湿と自家用車」を直撃します。これは、大変かもしれません。
2、個人の感覚差
たとえば、東京都内で「都市ガス・自家用車なし生活」の人が沖縄に移住したとしましょう。
プロパンガスは、都市ガスの3倍です。
自家用車を所有することで「購入費、車検、保険、税金、ガソリン代」など新たな生活経費が発生します。
つまり、移住前と同じ生活サイズであっても、プロパンと車の経費分は増えてしまうということ。これは沖縄に限らず地方移住あるあるですね。
3、自炊か外食か
私は自炊派です。生活圏には、沖縄ローカルのスーパーもありますし、24時間営業のイオン・マックスバリューなどもありました。イオン系の方がやや安いですね。道の駅の直売所に行くと野菜などは安く手に入ります。
そんなわけで、自炊派の食費は、移住前以下になります。
問題は外食。
外食には、「観光客対象の観光料金」「地元の人々のためのローカル料金」が混在しています。沖縄が好きで観光で来ていた人の多くは、移住しても「観光で立ち寄った時に知った沖縄らしいカフェ」に寄ったりします。これは観光料金。観光料金のカフェのコーヒーは、スタバより高かったりします。
地元のお店を開拓できればいいんですけどね。
4、収入が減る
沖縄でお仕事を見つけて移住した方に多いのはこれ。
移住前の会社を辞め、沖縄の企業に転職すると、同じお仕事でも給与は下がります。
これは、沖縄の課題でもあります。そこで本土の企業に「沖縄支店も本土と同じ給与体系」とするケースが増えてきました。沖縄の課題を解決しようとする試みです。ただし、対象としては新卒(第二新卒)の沖縄出身者を優先したいというのが企業の考えです。本土からの移住者は難しいかもですね…。
と、ここまで書いてみて気づくのですが、これは沖縄限定の問題ではなく、「地方移住に共通する傾向」と言えるでしょう。
そもそも、日本の現実は「転職すれば給与が下がる」「地方に行っても給与は下がる」です。この給与減少分を「子供の教育費・医療費の自治体負担」で補うのが地方自治体の移住政策の一つ(いわゆる教育費・医療費の無償化)。しかしこの制度は、独身もしくは子供を持たない夫婦にとっては何のメリットもないわけで、「田舎暮らしってこんなにお金かかるの??」になってしまうようです。
というわけで、あらためて地方移住を考えてみると、こんな人が想定されます。
1、そもそも転職がしやすい
・医療系資格やIT系スキルを持っている人
2、移住先のらしさを楽しみたい
・第一次産業に飛び込む体力・ノウハウを持つ人
・観光飲食の経験・スキルを持つ人
3、収入や生活サイズを変えずに移住したい
・副業などを持っていて、減収分の補充ができる人
・投資などで不労所得がある人
・リモートワークでお仕事を居住地以外からもらえる人
先ほど、久しぶりに沖縄の不動産をざっと見てみました。
少し前まで、本土から沖縄移住のメリットは「経済的なハードルの低さ」でした。しかし、このメリットは弱くなりつつあります。私にはもう無理ですね。
リモートワークとなり、収入や生活サイズを変えない移住は可能になっているはずですが、「東京から沖縄に移住する」より、「東京から長野県松本市に移住する」方が経済的には安いです。時代は、変化しているんですね…。
逆説ですが、移住者を求めている自治体・企業は、沖縄で勧誘活動をするのもいいかもしれません。移住者の60~80%が沖縄を出てしまうわけですから、ここにビジネスチャンスがあるかも。沖縄を出ると「収入が増えて支出が減る」わけですから。