沖縄から東京に戻って、住まいをどうするか少し悩みました。
妻からは、「ウチ来る?」と言われました。ただ、その少し前、妻は役員待遇に昇進しており、よく言えば「勤務時間に拘束されない立場」、その実態は「定額使い放題」になっていました。私も東京に戻ると昇進しており、それは私の経歴からするとあり得ない役職でして、それはありがたいのですが、これまた「定額使い放題(タクシー券付き)」と言えるものでした。
となると、一緒に暮らしても生活ペースはあわないでしょう。むしろ、仕事への集中度が下がるかもね…ということで見解が一致しました。変な夫婦ですいません。
実家で父の介護×同居も選択肢でした。
しかし、これは医師があまりいい顔をしません。私の勤務時間・帰宅時間が不規則なことが、父の混乱を招くというのです。たとえば、突然の議会対応で今日は帰宅できない…という状況に父は対応できないということ。認知症の症状は個々様々です。また、逆説的ですが、同居することは父の自立心を否定します。私が同居すると言い出すことで「自分はダメ人間なのか」と思い込む可能性もあるんですね。
というわけで、都内の家具家電付き物件を借りました。
職場と実家の中間地点にしました。家賃、高いっすね。
もう一つ、職場で悩むことがありました。直属の上司との関係性です。
昇進した結果、私はこの上司の真下に位置する立場になりました。かなり関係性が濃いです。ちなみにこの上司、仕事はできますが、部下をつぶすことが多いです。
これは、「子守人事」ですね。よく言えば、私はショックアブソーバー、実態は、「すまんが、あの人の下に就く人はもういないんだ」です。昇進は、「沖縄4年×この上司に就くこと」への代償かもしれません(笑)。
そして、プロジェクトが始まります。
「人口減少・時代の変化、未来を根拠」を前提とした業務です。
しかし、これでいこう! となったタイミングで、上司が細かく口を出してきます。過去の経緯を根拠に、合意を得られるのか、効果は実証できるのか、行政がすべきことなのか…などなどです。それは、確かにそのとおりではあるのですが、そこにこだわっているとプロジェクトは進みません。そもそも、上司は過去を根拠としている、プロジェクトは未来を根拠にしている、つまり「前提」がズレているのです。これは悪い意味で解決のない議論になります。しかし、ハンコは上司が持っています。
ちなみにこの上司、現在は某所で議員をしています。
その頃から、政治家とのつながりがあり、立候補を考えていたようですね。つまり、つながりのある政治家の利権や立場に抵触するような案が出てくると反対するというのが真相だったようです。
昇進すると、景色が変わるといいますが、そういうものが見えてくるところまで来たようです。そして、このあたりが私の限界と言えます。既得権や利益誘導を優先する発想は未来の敵ですが、この敵を倒す力はないということ。私には、希望ある未来を創る力はない…ということを日々実感し、そのことに苛まれたまま一日が終わる。
自己嫌悪ですね。もちろん、これは私の未熟さであり、能力以上の立場に就いてしまったことの反動と言えるでしょう。
一方で、プロジェクト自体は私が望むものであり、メンバーにも恵まれ、未来を根拠としたさまざまな構想と希望とが生まれてきます。民間や大学との共同プロジェクトも順調で、それぞれが抱える課題の解決も進んできました。社会課題とその解決の最前線を進むという状況からは得るものが多く、自身の学びの深まり・充実を実感する日々でもあります。
しかし、上司は全否定で、多くの案が却下となります。
学びと絶望とが深まります。
つづく