介護退職・介護離職という言葉があります。
もし、これをお考えの方がいれば、絶対にしない方がよい…というのが個人的意見。
逆に言えば、会社員で介護離職を真剣に検討する方がいる場合、それは会社の方に問題がある…というのも個人的意見。
母は生前、年を取って難しい状況になったら施設に入るから、子供に面倒を見ろとかは言わないからと宣言し、実行しました。晩年は癌を患い、余命宣告をうけつつでしたが、自宅で通常の日常生活を送り、ある日突然天に召されました。いわゆるピンピンコロリです。
母が亡くなって、父の様子がおかしいことが判明しました。それは通常の老化ではなく、どうも認知症のようです。ただ、父はそれを認めません。検査は断固拒否。身体機能が衰えていれば自然と「介護」に進めますが、父の場合、身体は元気な認知症という難しい方向に進んでいました。
自分は認知症ではない、その証拠は一人で暮らせていることだ、だから施設だの介護だのの世話にはならない…と言いつつ、冷蔵庫が一杯になる、部屋が片付けられなくなる、そしてボヤを起こす。そしてある日、外出先で警察に保護されました。本人は、散歩と言い張りますが、要するに自宅への帰り道がわからなくなったということ。
認知症になった場合、本人がどんな言動・トラブルを起こすかは千差万別です。
しかも、「できることもある」わけで、これが本人・周囲の理解を混乱させます。
というわけで、私は時々お休みをとって、実家にいくことが必要になりました。
お休みはとっても、担当プロジェクト内の連絡や会議はネットを使って参加しています。コロナ以降当たり前になりましたが、リモート会議やクラウドを活用した情報共有を当時から活用していました。ただ、それは担当プロジェクト内での活用。通常業務ではまだ認められていません。お休みをもらって父の面倒をみつつ、実家からリモートで会議に参加する日々。
で、お休みを頂くことに対し、直属の上司はいい顔をしません。
「奥さんにみてもらえないのか(妻は専業主婦ではありません)」「本当に認知症なのか、それなら施設に入れればいいだろ(本人が認めない、入りたくないというタイプなんです)」「仕事をおろそかにするな(休暇中もリモート参加しています)」というわけ(もう一回、お前の前で倒れてやろうか)。
制度としては「介護休暇」もあるのですが、運用は上司の匙加減というのが当時の実態で(今ならハラスメントですが)、これはもう職場の空気感と上司の価値観で人生が左右されるともいえるでしょう。
というわけで、いろいろなことがありましたが、ひとつよかったことがあります。
3月、私の退職が公表されます。
公式には「一身上の都合」であり、都合とは「転職・親の介護」になります。つまり、「直属の上司による管理責任」は一切問われない状況になったということ。
「円満退職」とは、手続きに瑕疵なく、人間関係に問題なく、祝福されて送り出されることと何となく思っていましたが、それだけではないんですね。
勤務時間中に職場で倒れ心身に不調をきたした私が、一身上の都合のみで定年前に退職した場合、私には「脱落者」という評価がついて回りますし、直属の上司には「管理責任からの人事的ペナルティー」が下ります。これは円満退社ではないですね。
また、「倒れたヤツが悪い派(自己責任)」「上司がひどい派(管理責任)」に分かれ、職場の分断が可視化されてしまうと、これも円満退社にはなりません。
その点で、「民間企業に転職して父の介護をすることにした」という準公式理由は、誰も傷つかず、人事に影響もなく、跡を濁さないことを可能にしてくれました。
私自身の体調や、父のことでドタキャンの可能性もあるから…ということで送別会的なものはご辞退申し上げました。その代わり、プロジェクトメンバーとの会議に、ちょっといいスイーツを差し入れました。円満退職にはフェイドアウトの姿勢も大切。
正直言うと、言いたいことはたくさんあり、それを飲み込んで黙っていたことを悔いることもあります。直属の上司は現在政治家になっていますが、あの時トドメを刺しておけばと思うこともあります。
何より、飲み込んで黙ったいたことが消化できず、そのことが心身の不調に表れた時は、本当にしんどかったです。
でも、人生には「ブーメランの法則」があります。
言ったことは返ってきます。
黙っていれば、ブーメランの法則は発動しません。
円満な退職、穏やかな老後には、これが大切なようです。
こうして、私は公務員を早期退職ということになりました。
転職先ことと、そこでの退職のことはまたいつか、機会があれば。
ちなみに今日の表題は「AI」によるものです。
読んでいただきありがとうございました