◆無為な2年間をどう過ごしていたか
早期退職後、心身が不安定な時期は「活字が読めない、読んでも頭に入らない状況」でした。軽い小説や、昔読んだ小説の再読ならだいじょうぶなんです。しかし、新書や、ちょっと勉強し直そうと思って学習理論系の本を取り出しても、続かないんですね。本が好きで、活字中毒だった私ですから、そういう自分に不安がありました。
では、読書の時間はどうなったかと言えば、半分は「映画やドラマ」になりました。ネットで無料ですから。残りの半分は、昔読んだ小説の再読になりました。図書館で無料です。
ただ、あまり重いものは入りません。007シリーズとか、そういうアクションものが(そんなの今まで見たことなかったのですが)面白かったですね。小説も再読なので、登場人物とストーリーとはわかっているわけで、ただ再読することの発見もあって、それが楽しかったです。北杜夫の作品なんかは、松本(作者は旧制松本高校出身)や仙台(作者は東北大学医学部出身)が出てくるので、シーンの映像も浮かびますし。
◆3年目の春は?
早期退職後、一番心身が軽いです。
2年間ぼーっと過ごす時間があって、頭と身体とが休まったのでしょう。
明日の予定がない、何なら今日の予定もない。明日の朝起きたら仕事に行かないといけないと思って寝ることがない。今日読めなかった本は、明日読めればよい。
そんなこんなで2年間過ごすうちに、頭が空っぽになったようです。
頭が空っぽになると、今まで自分を拘束していた価値観、抑圧になっていた考えなどが客観的に見えてきます。ああ、自分はこういう発想に無意識に支配され、最後の判断を狂わせていたんだな…ということがわかってきます。
いわゆる「アンラーニング(過去の価値観を手放すこと)」ですね。現役時代はどんなに意識しても難しかったのですが、早期退職して無為な時間を過ごすうちに、無意識に進んでいました(まだまだですけどね…)。
そうか、ご隠居・出家・隠遁するとこうなるんだ…が実感できます。
ちなみに今は、大学のテキストや論文も頭に入るようになっています。
◆とは言え、衰えを感じないわけではない(笑)
少しお仕事もいただいていましたから、その手応えや日々の暮らしの中で、「自分の衰え」を感じてもいました。
ただ、知識の忘却・不足は、「i-pad×Google」で補えます。
思考力の低下は、「新しい学習理論×脳のosの入れ替え」のチャンスです。
これって、膨大な批判と共に進みつつある「教育改革」と同じかもしれません(笑)
「学び直す」「学び続ける」とは、こういうことなのかも知れません。そのためには、一度空っぽにすることが大事というお話。
現役時代に、「頭を空にする×アンラーニング」ができなかった場合、退職後、のー---んびり過ごしてよいのではないでしょうか。そのことに罪悪感を持つことはないかなと思います。
この無為な時間が、「過去の価値観からの解放×学び直し」のモチーフとなるかもしれません。現役時代に「余白のない暮らし」をしていた方は、ここで「人生と脳の余白」を取り戻してはいかがでしょう。