新型コロナ対応に批判的な報道があるそうで、高校の先生に電話を掛ける保護者もいるそうです。昨晩は、そんな愚痴を知人の先生からうかがいました。一応、ここで論点を整理しておきましょう。
◆出願の仕組み
1 出願は10月 高校生は学校を通じて出願
浪人生は個人で出願
出願後の受験科目変更は認められない。
2 受験は1月 今年は、15日(土)、16日(日)。
この日程で受験できなかった者には追試験がある。
今年は、29日(土)、30日(日)
追試験を受験する場合は、医師の診断書などの公的な証明書が
必要。つまり、口頭申告で追試の受験はできない。
3 国公立大学2次試験の出願は、共通テスト終了後
1月下旬から2月上旬。日程の詳細は大学ごとに確認する。
この時、前期・中期・後期すべて出願する。
前期が終わってから、後期の出願ではないことに注意。
4 前期日程 2月25日から(大学によって異なるので注意)
前期日程で「合格×入学手続き」した場合、
中期・後期は出願していても受験できないことに注意。
5 後期日程 3月12日から(大学によって異なるので注意)
合格発表は、3月20日から(大学によって異なるので注意)
後期合格者で入学手続きをしない者がいた場合、追加合格の連絡が
来ることもある。
◆新型コロナによる特例
1 共通テストの通常日程で受験できなかった場合
・他の事情と同じく、追試日程で受験することができる。
2 医師の診断書などの証明書類が間に合わなかった場合
・口頭でその意を出願大学に連絡して相談し、その指示に従う。
・おそらく、追試日程までに書類を準備することが求められる。
3 通常日程、追試日程で受験できなかった場合
・昨年度、特例で追追試を実施している。受験者は1名
・受験のためには、新型コロナ感染などについての証明書類が必要。
4 本年度実施の特例
・全ての受験機会について、感染などで受験できなかった場合
「国公立大学2次試験の成績のみで合否を判定することができる」
◆新型コロナ対応で優先したのは「受験機会」
「共通テスト」を受験できなかった場合、国公立大学への出願はできなくなります。
また、「私大の共通テスト利用判定」への出願もできません。
もちろん、それは自己責任であるとか、コロナではなくても病気などによって受験できず、遠回りを強いられた人もいるだろうと意見もあります。しかし、過去の感染症よりも、新型コロナの感染リスクは高いです。
このような事態に対し、受験生の受験機会を守ることは、国として必要な対応であると思います。守るべきは、若者の未来ですからね。
◆受験の公平性は保てるのか??
追試を受験するためには、公的な証明書が必要です。
共通テストを受験せずに出願するのも同様です。
従って、意図的に共通テストをスルーすることは難しいでしょう。
また、昨年度の共通テストで、通常日程・追試日程共に受験できず、追追試を受験したのは1名という事実から考えて、対象となる受験生はかなり少ないと想定できます。
もし、共通テストを受験できず、国公立2次のみの受験で合否を判定する場合は、次のようなことが想定できます。
①該当生徒が合格の場合、その大学の定員数をこえることを許可する。
たとえば定員が20名。通常通りの受験生が40名とします。
まず、40名から20名の合格者を選びます。普通はこれで終わりです。
そこに、国公立2次のみ受験の受験生が1名いたとします。
その受験生を合格とした場合、定員20名をこえます。しかし、国がそれを許可する
という判断です。こうすることで、通常通りの受験生の不利を防ぎます。
②合意基準・判断は大学に一任する
当然ですが、特例の生徒を合格させる必要も、不合格にする必要もありません。
大学の先生方が、公平・公正に合否のジャッジを下します。
どちらの結果になっても、通常通りの受験生の合否には影響しません。
◆何がいけなかったのか?
文科省の言い方がよくなかったですね(笑)
世間には、「コロナで共通テストを受けなくても、2次だけ受ければ受かるよ」という伝わり方になっています。
本当は、「コロナで感染した場合、追試がありますよ。追試が受けれなくても、2次には出願できますよ」のはずです。「だから最後まで諦めず、受験頑張りましょう」と続くはずなんですけどね。
そもそも、国公立2次試験の出願には、調査書が必要です。現役受験生に関しては「学校の目」も光っていますから、不正受験は難しいです。
また、「共通テストを受験せず、国公立2次試験だけで判定する」というのは、「特例」であって、新型コロナの感染拡大が終息すれば制度としては終ります。
受験生のみなさん、頑張ってください。
共通テスト、出願大学の「受験要項」をよく読んで正しく理解してください。
変更事項は、大学のHPなどで確認してください。
うわさや、悪意に振り回されず、自分の実力を出し切ることを祈っています。