テーマ「沖縄スパイ戦史」
2018年に映画として発表されました。
映画「沖縄スパイ戦史」
監督:三上智恵、大矢英代
プロデューサー:橋本佳子、木下繁貴
協力:琉球新報社、沖縄タイムス社
製作:DOCUMENTARY JAPAN、東風、三上智恵、大矢英代
配給:東風
公開:2018年(ドキュメンタリー)
◆公式サイトはこちら
www.spy-senshi.com
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映画『沖縄スパイ戦史』予告編
◆最近「新書」にもなりました
◆目次
ストーリーの一つは「護郷隊」のこと
「護郷隊」の陣地跡が見つかったという報道がありました。
「護郷隊」の存在を知る人は少ないと思います。
「鉄血勤皇隊」「ひめゆり部隊」「白梅学徒隊」は、旧制中学校・師範学校などの学生を中心に編成されいます。
これに対し「護郷隊」は、それ以外の学校の生徒を中心として編成された部隊です。
年齢的には10代半ば。その彼らの指揮官は「陸軍中野学校」出身者。
つまり情報戦・ゲリラ戦・テロのための組織なのです。
作品を見た個人的な感想
もし私が、昭和20年に大本営付きの作戦参謀だったら…
硫黄島が落ち、次の作戦の立案を命じられたら…
沖縄戦をどう戦うか考えたら…
個人としての価値観と、作戦参謀という立場の二者択一を迫られたら…
そう考えると、陸海軍による正規の戦闘とは別に、もう一つ、ゲリラ戦・謀略戦を選択することを否定できません。また兵站・補給という発想の乏しい日本軍にあって、それが最も難しい「島」での戦闘となれば、「現地調達」を考えるでしょう。
沖縄スパイ戦史で語られる「日本軍が沖縄戦で行ったこと」「本土の人間が沖縄で行ったこと」…その非人道的行動の理由を理解することは可能なのです。
戦争という非人道的な行動は、論理的・客観的に説明出来てしまうことなのです。
戦争はダメなのは理屈ではない
「なぜ沖縄が戦場になったのか」という問いがあります。
私も含め、多くの人が「沖縄が戦場として選ばれた合理的理由」「そこで行われた非人道的な事実とその理由」について知識を持ち、言葉で説明できると思います。それは論理的・客観的には正しい説明だと思います。しかし、そこで終わって良いのかという思いが、この作品によってわいてきます。
「戦争はダメだ、理屈ではない」…そういう言葉に子供たちが反発する気持ちはわかります。私にもそういう時代がありました。しかし、今は「理屈ではない」の重みが、少しわかります。
今、自分が知っていることだけで、平和は実現できない
「沖縄スパイ戦史」は、沖縄戦のまだ知られていない事実を掘り起こした作品です。
その証言は、沖縄戦についての一般的知見を揺さぶります。
そこには沖縄戦を超え、戦争という大きな枠組みに共通する普遍性を感じます。
旧日本軍が沖縄戦で行ったことは、今も世界で続くテロ、争いに共通するのです。
護郷隊は、他国の歴史にもあるのです。
今、知っている知識だけでは、戦争を防ぐことはできないことを痛感します。
まだ知らない事実を知り、考え、学び続けることが平和に必要であることを痛感します。
沖縄を愛する方に知っていただきたい、そんな作品です