高校生の小論文や、社会人の方のレポートには、「少子高齢化」という言葉が使われています。これは、合っているようで合っていない…というのが個人的実感。
「子供が減って、高齢者が増える」というのは、相対的な見方なわけで、その背景にある「人口減少という絶対的な事実」が見えていないケースが多いです。
で、人口減少が可視化されやすいのは、「学校・病院・商店街」と言えるでしょう。
学校の「クラス数が減る」「統廃合の話が出てくる」ですね。
病院だと、「診療科が減る」「常勤医が減る」です。
商店街だと、「お店も人も減る」です。
一方で、「保育園や幼稚園、学童」では待機児童がいます。
駅前商店街は閑散としますが、イオンの駐車場は満車だったりします。
医師・看護師などの医療従事者は常に不足していますし、病院の待ち時間は長いです。
そうなると、人口減少??という疑問を提示する人もいます。
さてさて、未来を根拠として考えるには、ポイントがあります。
それは、「過去の成功体験は、未来の失敗を導く」「過去の失敗体験は、未来の希望を導く」という逆説です。
たとえばですが(たとえばですよ、念のため)、昭和39年の東京オリンピックや、昭和45年の大阪万博には、成功という評価があります。この時、日本は戦後復興・人口増加・高度経済成長時代でしたね。
少し前、東京オリンピックがあり、これから大阪万博があります。
今、人口減少・低成長時代です。成功したとしても、それ以上に未来に負債を残す可能が高いです。ただ、それを証明しろと言われても、なかなか難しいです。あるのは、「予想データ」ですから。
ちなみに、予想データは「最悪想定」「最良想定」の二つを出します。
太平洋戦争前、「アメリカの経済力・工業力に日本が勝てるわけない(最悪想定)」と、「神国日本が負けるわけがない(最良想定)」という想定があったそうです。
選ばれたのは「最良想定」ですね。
たしかに、明治維新以降の日本は、日清・日露戦争に勝利し、第一次世界大戦では領土利権を獲得しています。その成功体験が、最良想定への多数決を導いたのかもしれません。「日本は負けない」ですね。
ちなみに、平成・令和の日本でも、「最良想定」が選ばれることが多いです。
そして、最良想定に近づけるために努力するのは「最悪想定」を理解できる人です。
そして、「最悪の事態が回避」された時、批判されるのは「最悪想定を理解し、そうならないように努力した人」なんですね。そして、「最良想定」を支持した人が賞賛されます。
ま、それは仕方ないでしょう。また、このことが早期退職の理由ではありません。
ある時、私自身が、「過去の成功体験に拘束され、未来を阻害する存在」になりつつあることに気づいたのです。
私は昭和39年の東京オリンピックの時代に生まれ、大阪万博の記憶があり、バブル時代を知っています。私の第一言語は「過去を根拠に考えること」なんですね。未来を根拠に考えることは、「第二言語」なんです。
一方で、若い世代に、「未来を根拠に考える」「論理的に思考する」ことが第一言語の人が増えてきました。とくに就職難の時代以降は大学院卒が増え、データに強い人、プレゼン能力の高い人が増えてきました。デジタルネイティブですね。
老兵は…と思いました。
政府は、定年年齢を延長して長く働ける社会にと言いますが、時代の変化を根拠とすれば、世代交代を早くした方がよいです。
つづく…