55歳で退職したおじさんのブログ

投資・副業・役職経験のない平凡なサラリーマンでした。贅沢しなければ辞めても暮らせる程度に貯まったので早期退職。「健康で文化的なビンボー生活」を楽しみつつ、旅行、沖縄、小説、アーリーリタイア、健康、メンタルヘルス、シニア、ライフスタイル、不動産購入、ブログ、日々の暮らしなど記していきます。

他者の目線に立つということ

テーマ「新型コロナの日々に」

 医学系小論文のアドバイスを求められています。

 そんなわけで、医学部の過去問を見ていますが、とても面白いです。

 試験問題から、医学・医療の未来に希望を感じます。

◆目次

病院を舞台にした文学作品と言えば

白い巨塔山崎豊子、1967年出版

 ストーリーの軸になるのはこの二人(山崎豊子作品の典型パターン)

 ・財前五郎(次期教授を狙う野心家)

 ・里見脩二(患者を第一に考える研究×臨床医師) 

 二人とも優れた医師であることは共通。違いは…

 「里見」は「患者の目線」に立つことを忘れない。

 患者とその家族の言葉に耳を傾けて心理的な不安を取り去ることを大切にしている。同時に、看護師・検査技師などと連携し、チームで最適な医療を提供することができる。

 「財前」は「医学的な正しさ」を優先する。

 「こうすれば治るという論理」を、医師だけでなく患者にも無意識に強制してしまう。結果、周囲は「財前の権威、実績」の前に言葉を失い、財前のチームは「思考停止した縦社会」に、財前自身は「裸の王様」になってしまう。

 

遠藤周作が提唱した「心あたたかな病院

 遠藤家で、お手伝いさんとして働いていた若い女性が病気となり、余命宣告を受けました。

 「白い巨塔」と同じ時代ですから、本人にはその事実は隠されています。

 遠藤周作は「治らない病気」とわかっていて「つらい検査」「痛みを伴う治療」「身体に管を通されて自由を奪われる状況」に疑問を持ちます。しかし、当時の価値観の中心は「データを取って研究に役立てる」「延命する」…。

 そこで遠藤周作は、「つらい」「痛い」から患者を解放し、自由に過ごすことを優先すべきではないかと訴えるのです。ちょうど「本人告知」「ホスピス」が登場し、QOLという概念が日本にも入って来た頃。

 「大先生のおっしゃる通り(パターナリズム)」から、「患者中心の医療」への移行です。

 

QOLをテーマとした小論文で問われるもの

学問・研究のワナ

 「学者や先生、公務員は世間知らず」という言葉があります。

 学問や研究に没頭すると「論理的な正しさ」「解決の理論」にとらわれてしまうことがあります。

 しかし「論理的に正しければ正しいほど納得できないこと」ってありませんか(笑)

 例えば「臓器移植」は、医学的な解決として「科学的・合理的」なものです。しかし、違和感や抵抗感を持つ方も多いと思います。「告知」も「自分には告げて欲しい」と思いますが、「家族にはちょっと」とためらう方もいます。

 合理性・論理性から最も遠い所にある「違和感・抵抗感・ためらい」が「納得を妨げる」のですね。

 「財前教授」が全てを失うのは、彼の周囲が持った「違和感・抵抗感からの反発」と言えるでしょう。論理的には正しいのですが、倫理的には否定されてしまう。

 そこで「倫理的な医療」、つまり「QOL」の登場となります。

 

患者中心の医療

 医師への適性は「患者の目線に立つこと」から問われるようです。

 医学を志す者は「医学という学問」×「人としてのあり方」両方が問われるのですね。

 「財前教授」のように「研究のワナ」にはまってすべてを失ってしまってはいけません。

 「里見医師」のように「患者中心の発想(教科書+患者から学ぶ発想)」が求められています。もちろん医師ですから、情に流されてはいけませんが…。

 

新型コロナ対応は「国民中心」となっているか

組織として見ると…

 「財前教授化」「思考を失った縦社会化」と感じます(個人の感想です)

 「国民のため」と信じて行動している「裸の王様」のようです。

 ただ、「裸の王様」は周囲が作ることもあります。「首相はこのようにお考えのようです」と触れ回る側近が危険。

 この側近、可能性は二つ。

 側近も「首相のため」と信じている行動している。

 側近は「首相への悪意」を秘めて行動している。

 

財前教授も里見医師も「医学を志した動機」は同じは

 共通テストが終わると、医学部小論文のアドバイスが始まります。

 過去問を見ると「医師としての適性=患者中心の医療」の理解が問われているようです。

 儲かるから、成績が良いから「医師になってみよう」では合格は難しいと思います。

 また「論理的な正しさから自己を見失った財前教授」「患者中心ではあるが、情に流されて医学的な視点を喪失した里見医師もどき」でも困ります(笑)。

 医学部入試では、人間としてとても大切なことが問われるのですね。

 このような試験を突破し、その思いを維持できるなら、日本の医療の未来は明るいと感じます。

 そうそう、こちらも「受験生中心のアドバイス・傾聴」を忘れずに(笑)

 

まとめ

1,医療は「患者中心」の視点を取り入れている

2,世の中全体が「パターナリズム」からの脱却を求めている

3,合理性・論理性より「急がば回れ」の方が「納得」があり「解決率」が高いかも

4,現在の「政府の動き」「政治家の価値観」は?

 

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      非常に厳しい社会状況の中、命の灯を守ってくださる

  医療・教育・福祉・介護・流通・生産など多くの方々に感謝申し上げます