テーマ「文学散歩」
文学作品の舞台を訪ねるのが好きです。
今回は「姥捨」(大和物語)。自宅から一般道で4時間です。
◆目次
JRの「三大車窓」「棚田」で有名
JR姥捨駅に立つと、左手に「善光寺平」が広がります。この「善光寺平の夜景」がJR三大車窓のひとつ。スイッチバックもあって、鉄道に詳しい方ならワクワクがとまらないと思います。
右手には「棚田」が広がります。「日本に産まれてよかった」としみじみ思う風景です。
JR「姥捨駅」のホームから
(善光寺平。正面奥が長野市内)
姥捨伝説
小説「楢山節考」(深沢七郎)で有名になりました。
「棄老伝説」とも言われ、足腰が弱って動けなくなった老人、元気でもある年齢に達した老人を山に捨てるという村の掟。
ただし、この伝説・伝承については学問的に諸説あり。背景にある「農民の貧しさ」「口減らし」的な要素については異論があります。
大和物語では
両親を亡くし、祖母に育てられた男が主人公。
この男の妻が、年老いて腰が曲がって来た祖母を憎み、男(夫)に、祖母のあることないことを吹き込み「山に棄ててきて」と責めます。困った男は、月の明るい夜「山のお寺でありがたい法会があるから」と言って祖母を連れ出し、山に棄ててきます。
つまり、発端は「嫁姑の関係性」(姑と言っても夫の祖母ですが)。ただ、祖母が嫁にいじわるをしたのかどうかはわかりません。原文を読む限りでは、「嫁の性格」に問題がありそうに感じますが…。
帰宅した男は、山の上に照る月を一晩眺め、
「わが心慰めかねつ更級や姨捨山に照る月を見て」
と詠み、祖母を迎えに行って連れ戻します。
姥を置いた場所??
実にそれらしい場所があります。
向かいの山の上に「姥捨山に照る月」が掛かります。
姥はこの岩の頂に座って何を思ったのか…。
「祖母が棄てられた場所」と想像してしまう岩
岩の頂上からの風景(向かいの山の上に月が出ます)
小説だけでなく古典文学も好きです。周囲からは珍しいと言われますが(笑)。
作品の舞台を訪ね、同じ風景に身を置くと、文章だけではわからなかった「深い想い」を感じ、登場人物や作者と一体化するような気がします。
単なる自己満足なのですが(笑)、この先の人生、文学と旅とで豊かな精神生活を送りたいものです。