
学習支援という名称で、とある高校の探究学習・エントリーシート作成などのお手伝いをしています。公務員時代、参加した勉強会で知り合った先生の紹介というか、勤務校ですね。某県の進学校です。
お話しするのは受験生が多いわけで、そこには「学習支援って何?」「元公務員のおっさんってだいじょうぶなの?」という懐疑的な心理(真理?)を抱える生徒さんもいます。おっしゃる通りですね。で、昨日はそういう生徒さんが何人か初参加されており、ネットでつないだ場でいろいろ試されました。
「日本人ファーストについてどうお考えですか」がその始まり。
その高校には、というか昨日の参加者にはご両親のどちらかが海外の方とか、帰国子女の方もいます。ちなみに在日三世の生徒さんもいます。そこに直球を投げてきました。ま、それはそれでよいのですが、あまり上品ではないですね。
「岡本が一番だと思います。阪神の大山や、ホークスの山川も素晴らしい選手ですけど、国際大会で期待できる日本人のファーストは、いま怪我をしていますが、やっぱりジャイアンツの岡本ですね。あと、ファーストが専門ではないですが、国際大会で実績のある牧をファースト、岡本をサードという選択肢も有効だと思います」
と、少しボケを入れてみました。日本人ファーストは岡本、日本人セカンドは吉川という布陣は、巨人ファンでなくても認めてくれると思います。
高齢者のおじさんのベタなボケで、普段なら参加全員のやる気を喪失させるような返答ですが、上品とは言えない問いで緊張が走った場ではやや有効だったようです。甲子園予選を終えて参加してくれた野球部の生徒さん・マネジャーさんから熱い賛同をいただき、日本人ファーストは岡本という結論になりました。
で、一応セオリー的なものとして…
たとえば、給付か減税かという論点は選挙戦が進む過程で消えていきました。誰がファーストかという議論も同じ。結局、「AかBかという二者選択を迫る論点の設定」は有効ではないということですね。
「私はAに賛成です。なぜならば…」という考察は論理的かもしれませんが、解決は導かないでしょう(自己解決は導きますが、社会課題の解決にはならないはず)。
また、「該当地域の犯罪率は下がっている。外国人の検挙率・起訴率は日本人より高い」などのデータを示し、それを根拠とした主張もあります。
ただ、気をつけて欲しいのは、日本全体で犯罪件数は減少傾向にあるというマクロの視点です。そもそも、令和の治安は昭和よりよいのです。
ただし、凶悪犯罪、犯行の動機の理解が難しいケースは増えています。かつての犯罪は、背景に「貧困・教育を受ける機会がなかった」というケースが多いですが、昨今話題になる犯罪には「富裕層・高学歴層」の方がいます。普通なら犯罪に走らなくても生きていけるはずの人ですね。
したがって、犯罪件数・犯罪率という数字は大事ですが、そもそも減っているという傾向を見逃すと、論理的には正しいが、事実としては間違った結論を導く可能性が高まります。
パターンとしては、その人が感じている、しかし言語化できない不安・怒りなどのネガティブな感情が、「減税、給付、日本人ファースト、手取りを増やす」などの表現で言語化され共感を導いたという可能性が考えられます。したがって、減税・給付や法改正などを実施しても、根本的な解決にはならないでしょう。むしろ、共感ビジネスが跋扈して社会不安が高まる可能性が…ですね。
日本人ファーストという言葉を、そのまま論点とするのはどうでしょうか。
日本人ファーストという言葉から、よりよい未来の構築が期待できる論点を導くにはどうすればよいでしょう。ただ、この問題には「現在進行中の課題」もありますから、目の前の課題から、まだ可視化されていないが放置すると確実に将来の課題となる問題まで網羅することで、課題が発生するシステムを解き明かすことが有効ではないでしょうか。
二者択一に単純化することも必要ですが、システム思考でその複雑な背景・構造を網羅することも並行して進めてはいかがでしょう。
多様性を、どの意見も正解だ、だから私の意見も正解だと主張することに利用する人っていますよね。でも、多様性の有効利用とは、「異なる背景・異なる考えを持った多くの人々が、それぞれの発想・能力を活かして難しい社会問題の解決に一緒に取り組むこと」ではないでしょうか。
あと、共感をビジネスにはしないでね。共感と合意形成とは異なります。
共感ビジネスにはまると、自分の頭で考え、自分の言葉で語ることができなくなります。イデオロギーが先になると「結論ありきで、結論を正当化するための論理構築」に走りがちです。論理的には正しくても、その正しさが間違った結論を導くケースは少なくないのです。
というあたりで止めました。
これはこれで、共感ビジネスですね(笑)。