一部工事中の松本城
元教育委員会所属としては、高知県の教員採用試験「名簿登録者の70%が辞退」というニュースの扱いが気になります。
ええとですね、今年突然辞退者が増えたわけではないのです。
ここ数年、これくらいの辞退率が継続していました。
原因はいろいろありますが、採用試験の実施が47都道府県で一番早いってことがあります。実施日時を早くすると「真剣に教員になりたい人の受験率が高い」というメリットがあります。ただし、真剣度の高い受験者には本命の自治体の前の「練習」という意識もあるわけで、本命に合格すれば辞退するのは当然の流れ。
ちなみに、私の沖縄赴任時、県庁職員採用試験合格者の辞退率が20%をこえました。
辞退者は、民間企業に進んでいます。
その頃、都会の企業の沖縄進出には、事業拡大と社会貢献との両面を持つことが増えました。要するに、沖縄支店も本店も給与水準は同じとしたのです。そのことで沖縄の課題の一つである給与の安さに一石を投じたのですね。
そういう企業に入ると、沖縄では高給取りになります。公務員は辞退ですね。
逆に言えば、県庁受験者のレベルやスキルはかなり高かったと言えます。首都圏大手企業の支店に合格するくらいですから。そういう人材が…ということ。
「やりがいのアピール」っていいますけど、そのことが「課題解決を導く・社会をよくする・困っている人の役に立つ」ならば届くでしょう。
でも、教育委員会でクレーム対応、議会から予算を引き出すための交渉(根回し)をして感じたのは、結局「社会課題・家庭の問題」を学校・先生に押し付けているだけなんですね。
教育委員会に入る前、私は医療・福祉系に所属していました。つまり(一部の国民と政治家とが)教育現場に福祉の機能、医療の役割を押し付けようとしたに過ぎません。
それは違う!叫ぶとではお前がやれというのが上司の価値観でした。
できるだけ、先生方の負担を増やさないシステム構築につとめましたが、そもそも教育機関が政治のしりぬぐいをしているのでは…というのが私の感想。
そういうわけで、先生の希望者は減っても仕方がない。
念のためですが、先生・教育を志す若者は減ってはいません。
ただし、「先生になる過程でいろいろな実態を知ってしらけてしまう」「学校の先生だけが教育の仕事ではない」ということ。
そういう意見を持った私は、すでに退職してのんびり暮らしています。
この意見を否定してくれた上司は政治家になりました。
お粗末