昨日の松本城
これから7年ほどかけて松本城の周辺の改修が始まります。
お城そのものも少し補修があるのですが、現在のお堀を浚渫したり、周辺道路を拡張・整備したり、昔埋めてしまったお堀を復元したりと、かなり大規模なものです。
これにあわせて、松本市内から上高地に向かう道路が新しくなります。現在の細くターンの多い道から、トンネル・橋を使った広く直線の多いバイパスになります。これは、福井市~飛騨高山~安房峠~松本市をつなぐ道路の完成と連携します。
そんなわけで、このルートに関連する松本市内の道路の拡張や交差点の渋滞解消工事もはじまりそうです。そのための立ち退きなどは既に終わっている箇所もあります。
そんな計画を初めて知った時は「だいじょうぶかいな…」と思ったのですが、今年の春以降、国内外を問わずとてもたくさんの観光客が市内を闊歩する様子を見て、しかもコロナ以前より訪問者数も経済効果も増えたとのことで、やはり観光都市としての整備は重要だよな…と思いを改めました。
(私はコロナの真っ最中に松本移住しましたので静かな松本しか知らなかったのです)
松本市の人口は約25万人(函館市と同じくらい)。とはいえ20年後には約20万人に減少すると予想されています。イトーヨーカドー・パルコ・地元の老舗百貨店が撤退を決定し、個人経営の店舗の閉店も続いています。
一方で、人口の社会増は進んでいて、閉店した店舗の居抜き物件でカフェや居酒屋などを開く方もいます。白馬村がインバウンドで賑わっていますが、その方々を松本城や市内の居酒屋に誘うナイトツアーも始まっていますし、松本市・上田市をつなぐバイパス道路も開通します。
今後、人口は減るだけですから、大きな投資をするには最後のチャンスと言えますね。そんな松本に移住していいなと最近思うことがあります。
市内には「昔賑わったエリア」があります。そこには、石造りで大正風のデザインを施した建物、(廃業した)映画館・劇場などが並んでいます。このような場所を、地元の大学生(ゼミ活動らしい)に町おこし教材として提供し、実際に活動してもらっているんですね。
大学生の活動を許可してくれる所有者もすばらしいですし、その期待に応える大学生の活動もなかなか質が高く、活動の成果がそのエリアで可視化されつつあります。
もちろん、経済効果とか人口減少対策とか、そういう視点からの期待はまだまだと言えますが、そういうことではないんだよな…と思っています。
賑わいがなくなり人が去っていくエリアって、その場所を維持すること・安全を守ることにコストがかかるんですね。大げさな表現をするとスラム化する可能性があるわけで、でも若者が、廃業した映画館を展示や販売の場として復活させたり、劇場で公演を主催してくれると人の出入りが起きる。要するにマイナスだったエリアがプラスに近づく。文化・芸術系の場になると、そういうのが好きな人は県外からも来ますから宿泊・飲食にもつながる。
何より、そういう経験を学生のうちに現場で体験できることが、若者にとっても、日本の未来にとっても財産になると思っています。
町おこしは机上の理論だけでは…でして、実践を踏まないと(そして様々な抵抗勢力と戦かわないと)なんですね。
散歩しながらそんなことを思う日々。
機会があればぜひ松本へとお誘いしたいのですが、駅前のホテルは現在ほぼ満室のようで、いろいろキャパオーバーの現実もあって、ここで暮らす地元市民はそのことが不安なようです。