◆最近、ちょっと気になっていたこと
昔、お世話になった上司の娘さんが、あるアイドルグループにいます。
生放送で、そのグループの一人が、スタッフの言動について発言し、そのスタッフは辞任となったとか…。
関係者内でもいろいろ難しい判断があったと思いますが、たとえばこれが「学校」であれば、スタッフは「処分」でしょうから…今どきの世の中の価値観に沿った判断ではないかとは感じました。
上司も、とりあえず安心したかな…。
◆イマドキのアイドルとは…
私が子供の頃は「スター誕生」がありましたけど、今の人は知らないですよね。
ここから出てくるアイドルは、家族や経済的なことで苦労があり、その苦労から歌うことに憧れ…というストーリーが多かったです。
一方で、イマドキのアイドルはオーディションで数万人の中から選ばれます。
数万人から選ばれていく中で、残っていくのは必然的に「スキル」を持っている人になります。バレエやピアノの経験、バイリンガル、美術・スポーツなどですね。
つまり、小さいころから「習い事に慣れている」「家庭の経済力は高め」「子どもを枠にはめず、好きなことをやらせるという教育観」の中で育った人が、オーディションに残ります。
浪人中にオーディションに合格し、アイドル活動をしながら大学受験をして東京芸術大学に受かるということも最近ありました。また、アイドル活動を経て、キー局のアナウンサーになる人もいます。
◆枠にはめる指導のデメリット
いわゆる「厳しい指導」ですね。
「枠に入って、枠から出ろ」といった人もいます。要するに、基本的な技術・スキルを身に付けろ(枠に入る)、そうすることで自分を自由に表現せよ(枠から出ろ)ということ。
ただ、能力の高い人というのは、相対的にはわがままなことが多いです。好奇心の赴くまま行動することが多いですからね。しかし、たとえば「好奇心の赴くまま勉強」させると、海外経験のない小学生でも英検2級を取ったり、大学入試レベルの数学に取り組んだりします。
IQというのは、枠にはめるとあんまり伸びないらしいですね。
ただ、これは個人差があって、枠にはまることを求められた場合、枠の部分では枠に入って、枠以外の部分で自分の好きなことをするという「切り替え・割り切り」の上手な人もいます。そういう人は、厳しい指導を受けても、そのダメージは少なく、自分の能力を伸ばしていきます。そういうことが昭和では求められるというか、「巨人の星」の価値観というか、成功物語だったと言えます。
そういう生徒さん、部下に恵まれた厳しい上司が、それを自己の成功体験としてしまうと、その上司は今の時代にはあわなくなる…でしょう。昨日までの成功体験は、今日の処分案件なんですね。
◆人口減少時代の人材は…
枠にはめられつつも才能を発揮できた人と、枠にはめられることで才能をつぶされた人とがいるという現実は認めないといけないでしょう。
アイドルのオーディションや俗にいうAO入試では、「枠にはまらない能力、枠では評価できない才能」を持った人が選ばれます。そういう人を伸ばしていく環境つくりが重要になるでしょう。それは、「やる気のある奴だけでやる」という人口増加を前提とした競争・排除型のシステムで多くの人材を失ってきたことへの反省と言えます。「お前の代わりはいくらでもいる」ですね。
そう考えると、「窓際のトットちゃん・トモエ学園」のことが想起されます。
上司の娘さんがいるグループが、トモエ学園のような場で、校長先生のような人がトップだといいな…とふと思いました。
私なんかは、バブル世代で、昭和の価値観にまみれていますから、今、早期退職して、人間関係を断捨離し、世の中から離れた暮らしができる幸運に感謝しています。
現役生活の後半戦は、異なる価値観の中で矛盾を抱えながらの日常でした。
そういう日々から解放されたことが、早期退職のメリットであり、私の社会適応性の限界だったということみたいです。はい。