◆自分がそっち側ということを受け容れる
現役時代、食料品を買いにスーパーに行くのは、仕事終わりの帰宅途中。
もう値引きシールが貼られる時間です。念のため、値引きが目的ではありません。帰宅時間がそういう時間なのです。仕事帰りなのでスーツだったりもします。
早期退職すると、これが昼間になります。午前中だと値引きシール商品があるんですね(前の晩の残り?)。で、昼間になると客層が変わります。要するに、お仕事をしていないか、夜勤の人。年齢層高め。
駐車場には、高齢者マークをつけた軽自動車がずらりと並びます。
定年退職だと、退職がひとつがけじめとなり、今日からは「そっち側がこっち側になるだな」という意識の転換ができるのかもしれません。しかし、そういう「けじめの儀式」がなかったためか、自己の存在の曖昧さ、中途半端さを抱えるようになります。
そして、自分が「そっち側」ということに気づく場が、「昼間のスーパー」だったというオチ。イオンとかイトーヨーカドーが、早期退職の現実を受け入れる場になるとは思いませんでした。
◆新型コロナ給付金
対象者になります。非課税所得なので…。
結構な罪悪感があります。早期退職して悠々自適の日々…特別給付金は財布にはやさしいですが、心には厳しいです。もらわないという選択肢もありますが、余った予算がどうなるかを知る身としては…です。
で、もらうようにしました。そのまま寄付です。そうやってお金の流れを作ることがせめてもの…ということ。
早期退職者というのは、「社会制度の隙間」と「自宅」に存在するという、そんなこともわかってきました。世の中は、「入社した会社で定年までつとめる」という価値観がまだあり、「その定年も延長される」「働き続ける」という方向に進んでいます。
そういう世間の流れと逆行するんです。つまり、社会制度上は「その存在を想定されていない存在」なのです。
◆老後を真剣に考える
早期退職した年の9月には、現在の松本への移住へ動き始めました。
ただ、最初から信州移住・松本目的だったわけではありません。松本になったのは「出会いと偶然」です。その話はちょっと横に置いて…。
考えたのは「老後」。不動産購入ですから一生もの。40代で初めてマンションを購入した時は「給与所得」があり、「住宅ローン」が組めました。それがもうない。
早期退職資金からの購入×現金一括=もう買い替えはできない。
つまり、「一生住む、そこが終焉の地」になる、しかもその前に「老化」が待っている。そこで年金を受け取り、介護を受け、最期を迎える。
そこまで考えると、「どのマンションにするか」の前に、「マンションか・一軒家か」という「そもそも論」までさかのぼりました。そこでポイントとなったのは「自治体の体力」「生活利便性」「物価」ということ。
・「支出しかない期間」が人より長い
・年金をもらうようになるころには「自家用車」は手放す。
・公共サービスに頼る
購入にあたっては、物件の好みもありますが、そういう暮らしが可能な「自治体・環境・立地」であることが重要とわかりました。
自治体の体力は、ネットで調べればわかることも多いです。しかし、それだけでは…です。そこで、内見の時、「そういえば新型コロナ給付金って、どれくらい時間かかりましたか?」と聞いていました。このスピード感で、行政機能の質・トップのセンスがわかります。参考になりました。ちなみに、松本は早い方です。はい。
振り返ってみると、「地方移住×不動産購入=松本移住×マンション購入」が、私にとっての「早期退職の儀式」でした。「現役時代の暮らし×感覚×価値観」に気づき、これを修正できたと思います。
そして、社会的には存在を想定されていない早期退職者にとって、新型コロナは恩恵と言える部分も大きかったようです。そこに罪悪感はありますが…。