◆私と妻とは、平成元年に社会人になりました
いわゆる「俺たちバブル入社組(池井戸潤)」です。これがテレビドラマになって「半沢直樹」になったわけで、つまり、私たちは半沢直樹と同世代。
そんな妻が、自社の新入社員研修で講師として声をかけられました。
テーマは、女性のキャリア形成。
なぜ妻に…の理由は簡単で、バブル期採用の女性社員で残っているのは彼女一人だけだから。「あれほどお局扱い、たらい回し、セクハラ三昧しておいて、今になって女性のキャリア形成について新入社員に…もないよね」と笑っています。
◆とはいえ、会社には感謝しています
大学の卒業式と、入社式の間に入籍しました。自称学生結婚です。
妻は、自身の就職活動時に、「入社時には結婚していること、子育てをしながら仕事を続けたいこと」を示し、それを受け容れてくれる企業を探していました。今では当たり前になりつつあることですが、当時はそれだけで門前払いや、今でいうインターン中に不採用になることがほとんど。
産休や育休についても、制度として存在することと、制度を使うこととの間にはハードルがあった時代。同期入社の女性の半分が社内結婚し、その後は寿退社・おめでた退社するのが「普通」だった時代。
そんな中、女性が働き続けることに理解を示してくれた会社には感謝しています。
◆講師は引き受けるのか??
結論から言えば、講師はお断りしようとなりました。
今は、新入社員も会社も、「男女問わず働き続けること」を望んでいます。
でも、それを女性が実現するためのハードルはまだまだ高いと妻は言います。そして、自分のケースは「特殊だと思う」と言います。
学生結婚であること、共働きで財布別、子供は中学時代から通っている私立学校の寮に入り、家族はバラバラで暮らしている時間が長いことなど…。
「そういう生き方もある」という紹介にはなるけれど、「働き続けることができたのは、○○さんだから」という結論・印象を受ける人の方が多いと思う。それだと、キャリア形成のモデルケースとは言えない。そもそも、人の人生を、他者が再現できるわけがない(笑)。
とはいえ、女性が働きやすい会社にはなったし、上層部の理解もあるし、結婚・出産しても働き続ける社員も増えてきたし、結婚をせずに仕事で生きる人ことを選んだ人もいる。そういう人がシングルマザーとなった人を支える職場でもある。
「でもさ、最近シングルになった同僚いるんだけど、それは、仕事を続けたいという妻に対し、夫がそれを否定したことが発端らしい」ということも。であれば、「男性社員に対して、女性のキャリア形成というテーマをぶつける方がいいんじゃないの」というところで、私が淹れたコーヒーがなくなりました。
◆転職とか早期退職とかはまだまだ少数派
ネット上では、同じような人とつながりを持ちやすいです。
そこから、勇気をもらうこと、孤独から救われることは多く、本当に感謝しています。でも、リアルの世界では少数派・マイノリティであることは確かで、生きづらさや自己肯定感の低下を感じることも多いです。
転職してよかったのか、早期退職は正解だったのかという根源的な疑問にとらわれ、不安が増殖するのは、そういう時ですね。
この感覚の主語を女性にすると、こうなります。
「結婚してよかったのか、寿退社は正解だったのか」。昭和・平成の風景である結婚・出産に伴う女性の退社も「早期退職」であることは共通です。
そんなわけで、日本社会における女性の孤独と生きづらさとを思う週末になりました。というわけで、今日も主夫業頑張ります。