55歳で退職したおじさんのブログ

投資・副業・役職経験のない平凡なサラリーマンでした。贅沢しなければ辞めても暮らせる程度に貯まったので早期退職。「健康で文化的なビンボー生活」を楽しみつつ、旅行、沖縄、小説、アーリーリタイア、健康、メンタルヘルス、シニア、ライフスタイル、不動産購入、ブログ、日々の暮らしなど記していきます。

古いことに価値があるものもある

 

楽器に水がかかったらどうなるか

 オーケストラの演奏会開始前、つまり楽器などが舞台に配置されている状態で、スプリンクラーが誤作動したそうです。被害金額は1.5億円と記事にありました。

 あんまり正確な記事ではなさそうですね(笑)。

 この被害金額は、会場であるホールの被害金額。つまり、舞台や設備の修理、そしてステージ上にあったピアノ(ホール所有)の金額の合計でしょう。水を浴びたオーケストラの楽器の総額は、バイオリンだけでも軽く見積もって3億円を軽く超えるはず…。

 楽器に水がかかるというのは、人間の皮膚に化学薬品がかかるようなものなのです。

 

中学高校の吹奏楽部の楽器でも…

 管楽器は、弦楽器に比べると安い方かもしれません。それでも、木管楽器だと50~100万円近いものが多いです。県主催で、吹奏楽部やオーケストラ部の演奏会を企画する時、私は「保険を絶対かけてください」と伝えました。もちろん、主催者である県の費用で、県が加入者として。また、楽器運搬は、楽器運搬専門業者にお願いすることも。特に、「国体・インターハイ」などで地元高校の吹奏楽部を動員する時は、絶対に!

 なぜなら、演奏会であれば、音楽関係者が集まりますから、楽器の価値や取り扱いを知っている人が多いです。しかし、運動系の大会では、楽器の価値や繊細さを知らない人が多いです。あぶないです。

 衣類に、「着方、洗い方、干し方」があるように、楽器には「持ち方・置き方・触り方」があります。それを間違えると、簡単に壊れるのです。

 

楽器の価値や価格とは

 管楽器は中古車一台。プロの使う楽器だと軽自動車からベンツの新車くらいまで。

 弦楽器は家1件。バイオリン一丁で3000万円くらいと思っていただければOK。ただし、上はキリがありません。金額が付かない楽器もありますから。

 小型のオーケストラでも、バイオリン奏者だけで12人以上います。これで数億円ですね。被害にあったオーケストラは、比較的小型編成のようですが、メンバーを見ると、一流オーケストラに在籍していた方もいます。かなりよい楽器を…。

 「修理できるだろ」という方もいます。修理はできます。ただ、修理前の音は戻ってきません。金額や修理だけでは解決できない「価値」が楽器には内在しているんですね。ですから、保険加入時は「修理代」ではなく、「買い換え」を想定した金額にしていました。ただ、買い換えたから…という問題ではないのは今書いたとおり。それでも保険を掛けるのが責任と誠意です。保険をかけない時に限って事故が起きるという法則もありますからね。

 これを、国体など体育会系の方々の集まりで伝え、予算を確保し、当日の安全確保をするのが大切。文字で書けば、「高校の吹奏楽部に開会式の演奏をさせよう」でおしまいですが、そういうレベルの吹奏楽部を呼べば、50~100人くらいになります。控室・楽器置き場、音出し場所…などなどを「競技場・体育館」で確保するのはなかなか大変。お弁当も人数分ですし。

 

演奏会を主催した自治体の返答は…

 スプリンクラーの作動が、偶然の事故か、意図した犯罪的なものであるか調査中であると報道にありました。原因がはっきりしないので「謝罪」はできないとも。楽器の価値を知らなかったのでしょうね。もちろん、保険も入っていないでしょう。

 一方、奏者は練習や本番があるはず。水が掛かって修理が必要となれば、一刻も早い手当が必要なわけで、すでに修理に出し、費用も個人で支払いをしているでしょう。それを「修理したんでしょ」で済ませるつもりかもしれません。大切にしている自家用車・自転車とかをぶつけられて、それで終わりだとどうですか。大事に使っていたお皿とか。しかも、音楽家にとって楽器は収入の手段なわけで、その楽器が出す「音」が飯のタネなんです。その音が変わってしまったら…というところまで主催者は考えていなかったのでしょう。

 スポーツでも、ちょっとした怪我で身体のバランスが崩れて、元の動きができなくなることがあります。楽器もそういうものなんです。プロオーケストラを呼ぶなら、主催者は総額で10億円くらいを想定した方がよかったでしょう。

 

ちなみにですが

 趣味でサックスを吹いていました。もうきついので辞めましたが…。

 で、私の楽器はフランス製のもので、少し古い型です。購入した段階で中古でした。もう製造していないモデルでしたから。それを、最近査定してもらったのですが…購入時の数倍の価格になっていました。

 楽器は、中古だから安いというモノでもないんです。手放そうと思い、音楽大学の先生をしている友人に相談すると、「大学で買い取って生徒に貸し出す」という話になりました。古いことに価値があることもあるのです。

 

 私も社会人としては中古品です。仕事はきついので辞めました。

 査定金額は、現役時代の所得より数倍低いです(笑)。

 残念ながら、楽器の方が価値も価格も高いようで…。