55歳で退職したおじさんのブログ

投資・副業・役職経験のない平凡なサラリーマンでした。贅沢しなければ辞めても暮らせる程度に貯まったので早期退職。「健康で文化的なビンボー生活」を楽しみつつ、旅行、沖縄、小説、アーリーリタイア、健康、メンタルヘルス、シニア、ライフスタイル、不動産購入、ブログ、日々の暮らしなど記していきます。

平成の社会人修業のことなど

 

平成元年卒業・就職先は民間企業でした

 営業ではなかったのですが、上司のカバン持ちで銀座に行きました。

 ゴルフ・麻雀がダメなので、お前は銀座要員と言われたのですが、お酒は飲めない…と伝えたときの上司の絶望的な表情を忘れることはできません。

 基本的には雑用係。たとえば、バブルの夜にタクシーを確保すること。お付き合いのあるタクシー会社で予約する、先輩社員が懇意にしているドライバーを紹介してもらう、最後の手段はレンタカーを予約して私が運転する。その場合、お客様の自宅を調べ、事前に「銀座~自宅」を走って予習する。

 令和の今では、バカみたいな話ですが、準備・観察・段取りからの本番が大事だったのです。

 

銀座の接待

 ゴルフ・麻雀は、その人の性格が出ると言います。お仕事をする相手、億単位のお金をかける相手がどんな人かを見極めるのが接待なんですね。そういう価値観はなくなってきましたが。

 で、夜の銀座も同じく。こちらは接待する側でしたが、終わってから「○○さん(昨晩接待した相手)は、やめよう」ということもしばしば。そのココロは「遊び方が汚いから」。お店の女性に「○○さんってどんな印象だった」と聞いて、その反応がよくない場合「やめよう」になることも。つまり、接待は、する側も受ける側も真剣勝負でした。そこで試されるのは、「きれいに遊ぶ」こと。今風に言えば「ハラスメントを感じさせないコミュニケーションができる人」ってことなんですね。

 

銀座の修行

 接待ですから支払いは経費、つまり銀座はビジネスの場です。ただ、銀座の女性に恋愛感情を抱いてしまい、自分のお金で通い出す人がいないわけではありません。そういう噂は、あっという間に広がります。すると「そこの会社とのお付き合いはしばらくストップ」「○○さんと進めている案件ってある。あったら…」という指示が来ます。それがルール。

 雑用係の私は、時にママに怒られ、女性陣に段取りが悪い、もう少しこういうことに気づきなさいと教育されつつ日々を過ごします。そしてある日、お客様と上司を送り出したところで、ママに呼ばれます。

 座ると、お寿司がありまして、これが修行終了の儀式。

 この儀式が終わると、それまで「○○さんは、深酒をするといろいろある方なので、

10時に切り上げるようにお願いします。タクシーは10:10に予約済みです」とか伝えていたのですが、「わかっているから。タクシーはこっちで9:30に準備したから」となります。段取りは、店で全部やってくれるんですね(というか、最初からできたはずなんですけど…)。

 

昨今話題のできごとなど

 令和の価値観とビジネスで、銀座だの料亭だのはもう…です。そもそも、会議ではない場で物事が決まるってのはダメです。ただ、銀座とか、接待とか、そういうことの意味・本質、そこで試される価値、求められる技術などの「伝承」はありました。

 昨今話題のいろいろを聞くと、上司や先輩社員から、きれいに遊ぶことを学ばなかったのかな、伝承が途切れたのかな…と思います。ほぼ同世代なんですけどね。

 民間から公務員に転職して「接待」からは離れました。しかし「随行業務(添乗×アテンド)」はあり、そこではあまり関心しない人に出会いました(笑)。民間経験が役立ったのは「随行・接待の一線を越えた要求」を見極め、お断りすること。ただ、それを伝えると、「公務員は使えない」と言われ、さらに「民間上りのくせに」と言われたことは出世に響いたかもしれません(笑)。

 

 というわけで、バブル世代は「銀座×交際費」で悪い遊びをしたと言われます。しかし、その実態は、修行と真剣勝負の場でした。もちろん、そういう習慣はなくなった方がよいです。そもそも「修行」ってのがもう古いですね(笑)。