◆早期退職の決断は簡単ではない
現役で働いている人で、早期退職できればという願望を持つ人は、多くはないと思いますが、少なくもないと思います。
というわけで、かつての同僚などから、「早期退職してどうでしたか?」という問い合わせがくることがあります。何か増えているような気がするのは、気のせいでしょうか。
お仕事を辞めることは、意外と簡単です。
問題は、辞めたあとの生活なわけで、ここが成立しないと早期退職にはならないのですね。
◆相談された場合は、辞めない選択はないかを聞きます
現実問題として、政府は「長く働くこと」を奨励しています。年金などもそういう制度設計になっていますし、与党は「自己責任型社会」という理念を持っています。早期退職して困った時、「やめたお前が悪い」に帰結する可能性が高いのですね。
であれば、月給泥棒と言われようと、月給が下がろうと、閑職に追いやられようと、そこで「定年まで月給泥棒する」という選択もアリと考えています。
組織を離れて、フリーとなって稼げる金額はそんなに大きなものではないです。現在の月給よりも下がっても、残業代がなくなっても、それでも手取りは「月給」が一番多いのではないでしょうか。
そして、眠狂四郎のように、何かあった時に動くでもいいですし、職場の雑用を一手に引き受けるでもよいですし、結果ではなく、人から好かれる・組織の穴を埋めることを自己の役割として受け入れてもと思います。
◆ご家族との相談も
これはご家庭・夫婦関係によりますが、先々、転職・早期退職をお考えの方に一つ有効になればと思うことが一つあります。
共働きが前提の発想になりますが、財布を別々にしておくことですね。
生活費は割り勘。お金は共有せず、個々に貯金(資産形成)。
それぞれどれくらい収入・貯金があるかを伝えるか、秘密にするかはご自由に(笑)
ちなみに、最初のマンション購入時、費用をどうするかは結構話し合いました。割り勘で共同名義にしてもよいのですが、それはそれで面倒なことも多かったのです。そこで、私名義で私が購入しました。ローン組みましたけどね。
つまり、マンションをどうするかの決定権は私にあるってことです。それを、家族は自由に使ってよいというスタンス(笑)。ここに住んでも良いし、セカンドハウスにしてもよいという、きわめてドライな発想。
財布を分けたこと、一方で大きな買い物は割り勘にしなかったことで、後々もめることがなかったです。
◆早期退職してどうだったか?
おかげさまで、現役時代にはなかった幸福な時間を過ごしていると思います。
ただし、以下は大変でした。
①そもそも、早期退職前に想定した暮らしとはかなり異なる
②退職後、心身ともに参ってしまって、しばらく入院×自己肯定感低下
③節約オンリーで、資産運用の発想がなかった
そんな感じですが、幸運だったのは以下のこと
①財布が別々だったこと(経済的要因)
②夢だった信州移住・松本暮らしが実現できたこと(心理的要因)
③ボランティアで学習支援ができたこと(生きがい)
そんなわけで、今はやっと少し夢見た暮らしに近づいてきました。
ありきたりですが、早期退職がゴールではなく、退職した日がスタートなわけで、その先の「お金・暮らし・心身の健康」にめどがあれば…と伝えています。
一番危険なのは、早期退職後に心身の健康を損ない、そこから立ち直れずに経済リスクだけが高まること。
それさえなければ、というのが今日の結論です。