
◆50代は「幸福」ってことをよく知らないかも
今は「幸福学」という学問もできましたが、私は「幸福」ってことは、あんまりよくわからないまま大人になってしまいました。
親が、戦前生まれで、その後日本の高度経済成長を担った世代ですから、「子供が起きている時間に家には帰ってこない」「休日は接待ゴルフで不在」「家を建てれば転勤」「子供が大きくなれば単身赴任」という、現代なら「ブラック労働」「家庭放棄」「ハラスメント」のような日々。
それを見て「父は、家族ために一生懸命働いている」と思って育ったのが50代。その実態は、「会社の利益のために、家族を犠牲にすることができるか否かが忠誠心の評価」だったわけですね。
◆「立身出世」「自己の目標を叶えること」しか知らない
目標に向かって努力せよ(巨人の星になれ!)、偉くなれ(偏差値競争)ってことです。そこにあるのは「競争原理」。要は「競争に勝つ(大会で勝つ・コンクールで勝つ・受験で勝つ)」ってことで、これが幸福と考えられていた時代。
そこにクレージーキャッツ、寅さん、浜ちゃん(釣りバカ日誌)がアンチテーゼとなって登場する訳。ただ、彼らに対する社会評価は、「脱落者」「怠け者」です。
視点を変えれば、「ウェルビーイング」そのものですけどね。そういえば、「野原しんのすけ君」もいます。彼はPTAからはにらまれますが、決して人を不幸にはしません。なぜなら、しんのすけ君の両親はとても仲が良いから。そして、この両親は、競争原理的な発想をあまり好んでいないから(笑)。
◆50代からのキャリア教育
管理職を目指す人には、「自分の夢を叶えるため」という人も少なくありませんでした。たとえば、祖父が残した「憲法改正」をするのが夢という人もいます。
で、立身出世のご褒美に自分の夢を叶えるというのは、今や社会悪と言ってもよいでしょう。これからの管理職は、「自分の夢を捨てること×競争原理から離れた発想」が必要になるはず。これは、管理職になれず平のまま(あるいは役職定年を迎えた方)の方も同じ。自分の夢を仕事に持ち込まないことです。ついでに価値観も(笑)。
そして、年下の上司や、上司となった同期の成長を応援し、雑事を引き受け、チームのサポートに回ることですね。
◆50代は他者の幸福実現に寄与する
自分を犠牲にすること、家族など身内に犠牲をがまんしてもらうことしか、他者への貢献の方法を知らない人も、50代には少なくありません。でも、自分を犠牲にするほどの仕事や情報はもう回ってこないんですね。
で、自己犠牲ではなく、困ったことにサポートに入る…というのが大切。
と言っても、お節介ではダメです。このあたりが難しいですね。
できれば、チームのまだ誰も困っていることに気付いていないことを見つけるといいんですけどね。細かいことで言えば、会議室の準備。会議が始まる時には「快適な温度になっている、資料が各自の前に整理されている、プロジェクターなどの準備ができている」とか、昔の若手がやっていたようなことをさりげなく行う。
そのココロは、自分よりも若い人が働きやすい環境を作る…ということです。
自分がやらなくても誰かがやること、自分が退職しても代わりがいる仕事で良いので、黙々とやることですね。私は、シュレッダーのゴミ捨てや、紙が絡まったまま誰かが放置した印刷機のリセットなどをやっていました。印刷室とか資料室とかの整備とかもですね(笑)。
あとはGoogleの導入とかかな。若手が言っても上は許可しないので(わからないから)、申し訳ないのですが、私の提案として、その有効性・効率性・即効性、ペーパーレス化・省エネ効果などの切り口で、同期の上司に掛け合いました。そうなると話は早かったですね。
40代後半から50代にかけて、人生の転機もありますが、お仕事上では「自分の未来」が見えくること、時代・社会・価値観の変化に波にのまれそうになる時も少なくないです。
キャリア教育は、50代にこそ必要かもしれませんね。