お仕事で、企業研修の支援をしています。
というわけで、毎月大量の研修レポートを読んでいるのですが…
◆レポートによくある鉄板パターン
テーマを「リンゴについてあなたの考えを述べよ」とします。
これに対して、こんなレポートが多いです。
・リンゴは果物である。
・リンゴは、皮を剥いて食べる方がよい。
・皮を剝く時、怪我に気を付けた方がよい。
また、ご時世、皮を剥く時は手袋をする、食べる時はフォークを使うなど
直接接触を避けるべき。
・リンゴは、旧約聖書に「善悪を知る実」とされたように「二面性」がある。
この二面性を意識した方がよい。
◆上のようなレポートをどう評価するか
5段階評価なら、総合評価は「D」もしくは「E」です。
①自分が知っていることの羅列にすぎない。
しかも、本文に提示された内容は、誰でも知っている知識に過ぎない。
②「~べき」などの理想論に過ぎない
理想と現実との間には乖離がある。
この「乖離」を乗り越える考察は示されていない。
③「考え」が示されていない
論点の設定がない、考察もない。
④そもそも、テーマから「出題の意図」を読み取っていない
研修レポートという背景から、何が求められているかを考えていない。
◆このような「思考停止系レポート」を書くのはどんな人?
個人の狭い体験からという前提をご了解ください。
思考停止系レポートを書くことと、「年齢・世代・立場」との相関性は弱いです。
20代の若手にも、雇用延長した60代にも、思考停止している人はいます。
むしろ、企業規模の相関性が強いです。
思考停止系は「大企業」に多いです。約80%が「論点のないレポート」を書いています。一方で、「中堅企業」では、約20%くらいに留まります。
「中堅企業社員」の約80%は、個々に「論点」を設け、思考を掘り下げてきます。そこに、定型的な傾向はありません。創造的です(笑)。
◆レポートも「報連相」と化しているのが大企業?
「報連相」は、組織の基本と言われます。
ただし、「報連相が免罪符」になることもあります。報連相による責任回避の発想ですね。で、研修レポートも同じ傾向なのです。
「リンゴについて知っていることを書きました。提出しました。それが何か?」
なんですね…。
日本の未来に不安を感じます(笑)。
高校生には「みんなが知っているような大企業、特に親が勧めるような有名企業以外に就職することを前提に、自分の未来を考えてごらん」と伝えています。これは「自分の未来を考えるためのエクササイズ」なのですが、ちょっとマジな風向きになっているかもしれません。
そうならないように、頑張って支援します。