高校生の学習支援をしていると、時々、保護者の方ともしゃべることになります。
ZOOMで小論文のお話をしていると、いわゆる「乱入」されるのです。
こんな時は、必ず学校の先生も入って来るというルールで行っています。
◆昭和50年代後半から60年代の学費(都内の私立)は
私が大学に通ったのはこの頃(自宅通学です)。
初年度納入金(学費+入学金など)は、約60万円。
2年目以降は「授業料+α」で約45万円。ただし、教科書が高かったので、これで年間5万円くらいはかかっていました。
地方出身者が多い大学で、「風呂なしトイレ共同・月2~3万円のアパート」が当たり前。多くは「育英会の奨学金」を借り、その月額は5万円。
つまり、「奨学金年額60万」=「授業料+教科書代+通学定期」が賄えました。
で、家賃と生活費を仕送りにしてもらい、家庭教師のアルバイトで稼いで旅行をしていました。そんな同級生の半分は「学校の先生」になったので、奨学金の返済は免除です。
ちなみにこの頃の「国立大学」の授業料は、20~30万円。
家賃3万円のアパートなら、年間36万円。
つまり、年間60万円の奨学金で、学費と家賃が何とかなった時代です。
◆大学の学費が「どん」と上がったのは??
私の1~2年あとに入学した後輩は、初年度納入金が90~120万円でした。
急激に学費が上昇したのは、キャンパスの郊外移転。
青山学院大学が「厚木」にキャンパスを新設したのは、私が高校の頃。大学1~2年生(教養課程)が厚木キャンパスで、3年生から渋谷・青山になりました。明治学院も戸塚に新キャンパスを設置しました。
私は、ギリギリで値上げと、郊外キャンパスを回避できました。ラッキーでした。
(ちなみに、私は青山でも明治学院でもないです。念のため(笑))
◆保護者世代が、この時代の大学受験の感覚からアップデートされていない
両親が「大卒×キャリア系サラリーマン」だと、結婚・出産が少し遅めになります。
私と同じ年で、一人っ子が今年大学受験という方も少なくありません。
子供の教育にお金を惜しむとか、経済的に厳しいということもありません。
しかし、国立大で、特に修士以上の学歴をお持ちの方は、現在の学費に驚かれるようです(ちなみに、私たちの世代だと、修士以上の奨学金は返済免除でした)。加えて、奨学金も、実態は金利の高い借金でしかありません。
「我が子が大学に進んだら、一人暮らしさせて、奨学金で学費を賄わせて…」という「子供の自立=子離れ・親離れ」を考えていた保護者の方が、ZOOM画面に現れ、「ちょっとお伺いしたのですが…」と来るのはこの時です。
◆そろそろ増えてきた発想(海外大学への進学)
成績がよく、探究的な発想を持っている高校生には、海外大学を勧めています。俗に言う留学ではありません。海外大学を受験し、単位を得て、学位を取るです。そういう指導に強い信頼できる団体もあります。
で、海外大学の学費や生活費は…となると、奨学金を獲得できれば、国内国公立大学と同額、もしくはそれより安い場合もあります。もちろん、奨学金なしなら、国内私大医学部並ですが、海外は「学業成績に対する奨学金の額」が違います。
これは、経済的に大学進学が難しい場合も可能です。大げさに言えば「片道の飛行機代があれば」です。そういう高校生、いろんな場所で、ぼちぼち増えてきました。
問題は、大人の理解なんですね。
私たちの世代にとって、「海外進学」は、とてつもない高いハードルでした。だから、野茂選手の大リーグに移籍、大谷選手の二刀流に反対したくなるのです。
でも、今までなら「東大~官僚」という発想に閉じ込められていた成績優秀層に、他の選択肢が生まれています。これが、日本の没落になるか(優秀層が官僚・公務員を回避する訳ですから)、新しい日本の夜明けになるか。
私は、後者となることを信じているつもりです。
「じゃない方」なので(笑)