新型コロナの終息に向けた「出口戦略」が見えないですね…
知り合いから、愚痴やら相談やらが来ます。数年ぶりの連絡という知人もいて、限界・臨界を超えつつある印象が残ります。
◆公共事業って何だろう?
例えば、バス路線には、「ドル箱路線」と「赤字路線」とがあります。
運営が民間のバス会社の場合、民間ですから営利企業ではありますが、公共インフラを支えるという社会的役割もあります。企業としては「トータルとして利益」が出ていれば、利用者の少ない遠い集落への赤字路線も維持してくれます。
しかし、公共事業として赤字路線を維持することで、企業としての利益が削られる。全体が赤字になる。企業の維持ができないとなってきた時、役所はその路線に「補助金を出す」「公営バスに振り替える」ことで、市民生活を守ります。
私が公務員に転職した頃、「公共」「公務」とは、そういうものだと教わりました。
民間企業は利益の出る仕事。公共事業は、民間では利益が出ない仕事。
そういう棲み分けです。
◆役所を営利事業にしろ!
儲かる仕事は民間優先です。公務員は「ビジネスがわかっていない」と言われますが、それはある意味であたっています。利益を出す仕事をしていませんから。
で、利益を出せ、競争原理を導入しろ、給与も能力評価だ! となりました。
民間原理の導入ですね。理由は、公務員は「無能」だから(笑)
これは、役所を「株式会社」にするということ。ただ、そうなると、仕事のやり方も「民間企業」のようになります。「古くなった橋の架け替え」と言う公共事業も、競売入札となれば大企業が勝利します。そして、価格競争で負けた地元企業(今まで地域のインフラを守って来た地元企業)に丸投げされます。地元企業は、直接請け負った時の半分くらいの価格で、今までと同じ内容の事業を行うことになります。となれば、材料や安全を削るしかありません。そういうことなんです。
◆結果に予算をつけろ!
競争原理が導入されると、実績・結果を出さないと予算がつきません。
たとえば、橋の耐久性が限界で、危険な状態になっても、予算をつける理由にならないのです(本当)。
すべての公立学校に「スクールカウンセラーを配置する事業」を担当した時、議会からの要求で一番しんどかったのは、「実績・結果」を求められること(笑)。
「新規事業なので実績や結果はないです」⇒「では予算はつけられない」のループ。そこで、「学校独自でカウンセラーを活用している学校」に協力をいただいてデータを作成する⇒「スクールカウンセラーが配置された場合と、配置されない場合の比較を出せ」という、絶対に不可能な要求が返ってくる(笑)
教育行政では「国公立大学への進学者数」という実績がないと予算がつかない。
必要な施設・設備・予算がない状況で実績を出そうとしてどうなったかはみなさまご存じのとおり。現場の先生方は「定額働かせ放題」なだけでなく、本来は公費で購入すべき授業で必要な機材(プロジェクター)などを「身銭を切って購入」しています。
また「私大」を認めない大人・議員も少なくありません。偏差値だけで言えば、早慶上智ICUより低い国立大学なんてのはいくらでもあるわけですが、国公立と私立を「優劣」でしかとらえることのできない、歪んだ競争主義には手を焼きました。
これは、結局「高校生の自由な大学選び」に弊害がきます。首都圏私大希望の高校生が、言葉巧みに地元国公立に受験先を誘導される、説得されるという事例です。
◆というわけで、コロナ対応に出口が見えないのは…
そういうことです。
コロナ対策でも「結果が出たら予算を執行するという発想」から抜けきれない。
ちなみに、これを「悪用」したのが「go to シリーズ」。感染者数が下がったら予算を執行するというやり方です。
同様に「生活保護受給者を減らしたら報奨金」ってのは、本当かどうか知りませんが、競争原理を導入すると、こういう発想になるのも理解できます。
で、コロナ対応は「結果や実績がない状況に予算を付ける必要」があります。となると、これは「トップの決裁」になるわけで、実際そうなっているようです。これは「東京五輪」も同じ構造。そういうことです(笑)
というわけで、すいません。たくさん愚痴を聞いたので、ちょっと吐き出さないと、私の心のバランスが取れません。お許し下さい。