55歳で退職したおじさんのブログ

投資・副業・役職経験のない平凡なサラリーマンでした。贅沢しなければ辞めても暮らせる程度に貯まったので早期退職。「健康で文化的なビンボー生活」を楽しみつつ、旅行、沖縄、小説、アーリーリタイア、健康、メンタルヘルス、シニア、ライフスタイル、不動産購入、ブログ、日々の暮らしなど記していきます。

専門職はつらいよ

テーマ「新型コロナの日々に」

 現役時代、教育・福祉・医療の担当が長かったです。

 現場では「それぞれの分野の専門家」が業務を遂行しています。

 私の役割は「現場の専門家」と「行政」との通訳(笑)。

 板挟みにあうことが多かった分、経験と学びは深まりました。

◆目次

世間と専門家との認識のズレ

世間の認識

 世間は「世の中には正解がある」と思っています。

 どんな困難でも「解決策」「解決できる人」があるとどこかで信じています。

 「メシア待望」みたいなものですね。

 自分や家族では解決できない問題を「この人なら解決してくれるはず」と信じ、期待するのです。

 

専門家の認識

 学問を突き詰めていくと「世の中には正解はない」「正解は個々に異なる」ことがわかってきます。

 魔法がないことも、逆に様々な条件が重なって「魔法」が生じることも体験的にわかっています。

 「解決」には「情報」「協力」「試行錯誤」が必要で、時間もかかります。

 教科書の知識は大切ですが、教科書通りで解決することはあまりありません。

 

「正解はない」という認識はまだ一般的ではない

◆専門職が受けるクレーム

 例えば「人口減少時代における地域課題」の「解決方法」「正解」はありません。

 先端事例でも10年前から実践して、まだ試行錯誤の真っ最中です。

 これを「赴任して1~2年で解決すること」を期待されます。

 「まだ?」「本当に専門家」「全然進んでないよ」「何も変わってないよ」で会議は終わります。

 

問題解決に協力して取り組むことが必要ですが

 例えば「医師・先生」への「敵視・攻撃・不信」は良くあります。

 これは「クライアントが期待していた解決・正解」が導かれない時に生じます。

 できれば「問題についての情報を共有しつつ、一番良い解決方法を創っていく」、つまり「急がば回れ」というスタンスで「正解を一緒に創っていくこと」が理想なのですが…。

 

新型コロナが浮き彫りにするもの

正解を求める組織は機能不全に陥る

 新型コロナ対応に正解はありません。

 正確には「感染終息に対する医学的な正解」はあります。

 しかし、医学的な正解から感染終息を導くには「医師の努力」だけでは不可能です。

 また「医学的な正解」だけで解決するほど現代社会は単純ではありません。

 正解を求める組織は、この段階で思考停止になりやすいです。

 

感染終息後にやってくる最悪のシナリオ

 「正解がない事象」への対応は難しいです。

 対応策の多くは「半分は救えても、半分は救えない」が現実。

 救えなかった半分には、別な対応策を考えて…の無限ループ。

 対応が無限に続く現場では、バーンアウトする人が出やすいです。

 また、「救えなかった半分」の責任を背負わされて異動、退職を求められる人もいるでしょう。

 つまり「正解を求める人」によって「正解がないことを理解している人」「正解のない現場で解決策を見出した人」が裁かれ、現場から去ることになります。

 

最後に

 正解はない…という表現は誤解を招くかもしれません。

 「正解は一つではない」「前提によって正解は異なる」とでも言えば良いでしょうか。

 そこで求められるのは「共通解」「最適解」「納得解」。

 実現のためには、コミュニケーションと、「科学の言葉」を通訳できるコーディネータが必要だと思う今日この頃です。 

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