テーマ「教育・学習支援」
高校生の志望理由書、小論文の相談が続いています。
本番が近づく中、光るものはあるのですが、全体としては評価されないタイプの小論文をどうすれば良いか。受験生の個性を評価してもらうためにはどんな修正が必要か。
そんなことを考える日々です。
◆目次
素晴らしい内容だけど高い評価はもらえないパターン
◆出題意図、答案の条件を理解しないで書いている
「小論文(答案)」だけを読むと、素晴らしい内容。
しかし「問題(課題文・設問)」を見ると、その意図から外れている。
球速160㎞の素晴らしいストレートですが、ボールなので評価が付きません。
◆課題文の誤読、事実誤認
「課題文」にある「筆者の主張」「課題文のテーマ」を誤読しているもの。
「前提」が「出題者・受験生」で共有されていないので、その後の論点・議論・結論すべてが出題意図から離れていく。
また、結論の根拠となる事実が「間違った理解」であることも。
「根拠」が崩壊すると、小論文の内容すべてが崩壊します。
◆独創性は高いが、実現可能性が弱い
豊かな発想、独創的なアイディアに溢れています。しかし、実現可能性が考慮されていない、実現への筋道が明示されていないもの。
地に足がついていない、考えが浅い…が全体評価になってしまいます。
◆上の3つに共通する哀しい事実
文章も内容も「論理的」には成立しています。
しかし、受験生が「前提」「出題意図」「根拠となる事実」を客観的に読み取っていない場合、採点側は「恣意的な論理」と感じてしまうもの。客観的な論理構築が良くできていればいるほど、受験生の悪意(主観)を感じてしまうのです。
外部の人間ができることは「ワーク」の提供
論理的な書き方・考え方は学校の先生にお任せ。
こちらは「ワークを使った頭の使い方」を提供しています。
◆「課題」「解決のヒント」を、「課題文や図表・グラフ」から掘り起こす
・複数の「主張・意見」「図表・グラフ」を「比較」する
・課題文、図表・グラフから「共通点」「差異点」を取り出す。
・差異点を「対立」「矛盾」「逆説」として整理する。
・ここに課題や解決のヒントが隠れている
例えば「新型コロナで経済が停滞している中で、業績を上げている分野」
「長時間労働の解決が求められる中、業務量が増えている仕事」など。
◆独創性と実現可能性
・そもそも「独創性」と「実現可能性」は対立する存在。
・「対立」という「普遍的課題」を発掘し、解決する姿勢を示すことが大切。
◆実現可能性は「ブリコラージュ」の発想で示す
・「今ある資源」を活用する、組み合わせることから解決を創造する。
・「今ある資源」とは、課題文・図表・グラフに示されている内容
◆「独創性」も「ブリコラージュ」の発想で示す
・「創造とは組み合わせ」でもあります。
・「カツカレー」ってすごい「創造」だと思いますよ(笑)
まとめ(評価されない小論文の添削ポイント)
◆前提の確認
・「出題意図」「課題文、図表・グラフ」「根拠となる事実」
◆課題の発見
・「課題文、図表・グラフ」の内容から共通点・差異点を取り出す
・二つ以上の事実を「比較」し「共通、対立、矛盾、逆説」に整理する
・比較した事実の中に課題がある
◆課題の解決
・比較した事実の中に「解決のヒント」がある
・「解決のヒント」が「解決」を導くことを論理的に証明する
・証明の道筋に「今ある資源」を含むことで「実現可能性」を示す
というわけで、上記の内容をワークにしています。
一文字も書いていませんが、議論は重ねています。
議論は「正解を求めるもの」ではありません。他者と自己の差異を自覚することで、自己の不足を埋め、自分の考えに自信を持つことができるようにと思っています。
小論文には正解がありません。正解がないからこそ「客観的事実」に基づいた「自分の考え」を構築することが大切と思っています。
今日の内容はまだまだ初歩ですが…とにかく頑張れ受験生!