テーマ「高校生との対話・学習支援」
知り合いの高校の先生からお手伝いを頼まれて数カ月。
「学習支援」という名目をいただき、受験生の志望理由書・小論文の相談に乗っていました。総合型選抜で合格した高校生が結果報告と挨拶に来てくれます。
私は数度お話をした程度ですが「こういう高校生が評価される日本社会であって欲しい」と感じていました。そういう若者が合格したことが、とても嬉しいです。
◆目次
初めて「学習支援」に参加したのはもうだいぶ昔
この時、子供たちから「勉強する理由」を学びました。
◆子供たちが学ぶ理由は「知的欲求」(純粋!)
「知りたい、解けるようになりたい、読めるようになりたい」というシンプルなもの。
「いい高校~いい大学~安定した職業or立身出世」ではないのです(笑)
◆子供には「大人の期待に応えようとする一面」もある
子供には「大人が求めている答え」を優先し「自分の考え」を飲み込む一面もあります。
この「大人の期待を満たす子供(素直な優等生)」の中に、「自己喪失している子供」「自己喪失していることにすら気付いていない子供」が存在します。自分の考えを飲み込んでいるうちに、自分で考えることができなくなってしまうのです。
主体性の喪失ですね。
「推薦入試」(※)を希望する高校生には「素直な優等生」が多い
◆出願資格を満たすために
「評定平均が高い×欠席が少ない×部活動・生徒会活動バリバリ」な高校生が多いです。
もちろんこれは大切。なぜなら「出願資格」というハードルがあるから。
しかし、まだ「出願資格を満たしただけ」「土俵に乗っただけ」。
ここはスタートラインなんです。
◆「評価の対象」になるのは「自分の考え」
「先生が言ったから」「○○さんの本に書いてあったから」を「根拠にすること」はNG。「他者の考え」が根拠の主張は、評価の対象にならないからです(資料・データなら良いですが)。
この気付きが「最初の壁」。
※今年度から「総合型選抜」(旧AO入試)、「学校推薦型選抜」(旧指定校推薦・旧一般推薦)という名称になっています。
本当はわかっているよね(キーワード)
◆高校生が書く「志望理由書」は「リクルートスーツ」のように同じ
「出願資格を得た経緯」を志望理由風に表現したもので、テーマは「努力・我慢・協働」。これが「高校生の考える大人が求めている答え」だとすれば、反省すべきは、大人の方ですね。
◆「本当はわかっているよね」
大人の期待という「抑圧」から解放し、本人の考えを引き出すことが必要。
そんな時「本当はわかっているよね」がキーワード。
「本当はどうすればよいかは、みんなわかっているけど、それを口に出すこと」はタブーという現実があります(同調圧力?)。
大学、学部学科、取り組みたい学問・課題、将来の職業希望。
人口減少、少子高齢化、地域課題。新型コロナ、森友問題、桜を見る会。いじめ、不登校、格差。
本当の理由も、本当はどうすればよいかも、わかっているけれども、それをみんな飲み込んでいる。
この「飲み込んでいる言葉」を引き出すのは、「学校の先生ではない人」「外部の人間」の方がいいような気がします。
まとめ
・子供が勉強するのは、人間が本質的に持っている知的欲求による
・大人の期待に応えることを求めすぎると、子供たちから主体性が失われやすい
・本当のことはわかっていても、それを口に出すことは難しい(同調圧力)
・本当の言葉を口に出せる関係性と場の構築が大切(支援の本質)

(旧制松本高校の展示より)