テーマ「実は住んでいます」
北関東三県の魅力が低いのは、「東京との比較」(他者の視点)、「反映した過去との比較」(自虐的視点)という「相対評価」によるのではないかというのが「その1」(前回)。
相対評価では「マイナス点が強調」されやすいですからね。
一方で評価の高い都道府県は「絶対評価」ではないでしょうか。絶対評価は「プラス点が強調」されやすいですから。移住人気の高い「北海道」「沖縄」「長野」などがそうだと感じます。
◆目次
街の中心部がロードサイドに移ると地方経済は衰退する?
◆車社会の誕生
昭和40年代以降、狭い旧道から離れた場所に「相互4車線以上のバイパス」を作りました。街の中心部から離れているので地価が安く、まとまった土地の確保ができます。
こうしてロードサイドに大型店舗が進出し、周辺に住宅が作られます。気が付くと街の中心部がロードサイドに移行し、車社会が誕生します。
◆一家族に複数台の自家用車が必要になる
住まいの選択は「複数台駐車できる一戸建て」が優先。
一台しか車が置けない一戸建てやマンションは、なかなか売れないとか。
こうして、ロードサイドに「新しい一戸建てと東京資本のチェーン店」が広がっていきます。
◆そうなると…
・マンション需要が低いので、人口増加効率が悪い。特に「社会増」が進まない。
・ロードサイド店舗に古くからの個人商店は太刀打ちできない。
・駅前商店街や店舗には「駐車場」がないため、購買力の高い層が遠のく。
・東京資本で買い物しても地元にお金は落ちない。
というわけで、駅前が元気だったころの「地域経済の循環」は崩壊。利益は東京に吸い上げられるだけの一方通行。
こうして経済が衰退していくのではないでしょうか。
利便性は「ストロー現象」を伴いますからね。
経済だけでなく人材も流出している?
◆北関東三県には子供を育てやすい街が多いのですが…
自治体の「子育て支援」が充実しています。加えて、子供を遊ばせるために家族で出かけることができる場所には不自由しません。
しかし、子供が成長し、友達同士で遊びに行く年齢になると「ねずみの国」に行きますよねぇ。この現象、若者の進路選択にそのまま反映されることが多いです。
◆子供が成長すると進学で県外に出てしまい、戻ってこない
北関東三県には「旧帝大」「旧制高校」をルーツとする大学がありません。
となると、優秀な人材が流出しやすいかもしれません。
◆優秀な若者のメンタリティー
それぞれ「宇都宮高校・宇都宮女子高校」「高崎高校・高崎女子高校」「土浦一高」などの公立校があります。
こういう名門校で学ぶ若者は、「地元に戻って地元のために働く」よりも、「東京に出て日本のために働く」「海外に出て世界のために働く」という志を持った人材が多いです。良い意味で視野が広く意識も高いです。
◆「塾」が「中学受験×高校受験」に力を入れている
これは「首都圏の有名私立」「中高一貫校・有名大学付属校」の受験者が増えているということ。中学・高校進学の段階で県外に出てしまう若者も増えつつあるようです。
ちなみに数年前に会った東北地方のある県庁所在地のエピソード。
東京からの転勤族は、子供が中学・高校に進学する際、東京の有名校を受験させました。合格したら「家族の事情」で東京への異動希望を出す。人気があったのは「学芸大附属」で、それに特化した塾もありました。
経済だけでなく、人材も「循環」を失い、「供給の一方通行」が進んでいるのかもしれません。
まとめ
郊外が発展すると地元経済の循環が失われる。
子育て支援が充実しても、育った子供は都会に進学してしまう。
そして「魅力を発信する予算と人材」が県外に流失する。
これは、全国共通の現象です。ただし「比較」と「ストロー現象」の対象が「東京」という点がしんどいですね。
「その3」へ
北関東三県は「ラーメン」うまいですよ!
地元民しか知らない名店、結構あります、ぜひ!