私の知り合いの高校の先生かなりお疲れのようです
◆先生が勤務しているのは中堅の進学校
生徒はほぼ全員が大学進学希望。
旧帝大の難関大学から地元私大まで、偏差値的な学力幅や志望校はかなり広め。
感染予防に最新の注意を払いつつ変更になった学校のスケジュールをこなし、大学受験日程・方法・内容の変化を追いかけつつ奨学金の事務処理も。本務の授業、受験補習に加えて、オンライン授業の準備・実施あって、しかもこの連休中は部活動顧問として「代替大会」の運営・引率をしています。
もちろん、ベテランの先生ですからお仕事ができ、指導力も実績もあります。それでも、久しぶりに再会した私に愚痴や相談をうちあけるのは、非常に限界に近い状況なのかもしれません。
求められているのはoutputの相手。愚痴を聞きつつ、多忙から余裕を失なった思考の回復ですね。
◆相談内容は、キャリア教育や受験勉強のことですが…
一言で言えば、学校の先生が生徒さんたちに普段から伝えていることを、外部の人から補強して欲しいということ。同じ内容でも、日常を一緒にしている人に言われるより、ゲストに言われた方が入るもの。
◆教育についての誤解
例えばですが、最近「思考力重視」と言われています。
思考力と知識力とを二項対立でしか考えられない人は、「思考力重視=知識不要」という短絡的な思考になっているそうです。この段階で「思考力不足」のような気もしますが、加えて「知識不要」を盾に「単語・熟語、公式・法則、重要語句」を覚えることから逃避する傾向が強いそうです。必要な知識を身に付けるため宿題・小テストを実施すると「詰め込み教育の再現」「時代遅れ」と揶揄されることもしばしばとか。これ大学進学希望者とその保護者の発言です。
◆外部の人間の役割
人間の認知や思考は語彙力を超えて広がることはないので、「思考力を高める」ためには「知識力を高めること」が大切。現代文でも古文・漢文でも、小さくは単語の意味、大きくは作者のプロフィールや背景にある時代・思想・前提を知っていれば、本文の理解、問題の正解率はかなり高まるはずです。
というわけで、知識不要という誤解を解き、学びの姿勢から、今の学びが人生を左右する可能性まで伝えて欲しいというリクエスト。もちろん、そんなことは先生方が日々高校生に伝えています。もちろん高校生もわかっています。でも、日常の中で自分の考えを変えることは難しいですよね。
そんな時「こないだ来たおじさんが言ってたから…」になればと思います。つまり子供たちの周りの大人たちが、良い意味で同じことを伝え続けることですね。
◆学ぶことの喜び
偏差値が高い大学を目指すことは大切です。
しかし、目標の高さから自滅したり、大学合格の段階で燃え尽きる高校生も少なくないとか。また、難関大学に進んだことで人生の選択肢が狭まる場合もあるそうです。これはわかるなぁ・・・。
人口減少が進む田舎町で学習支援をしていた青年はとても優秀で、人々にも愛されていました。しかし、ひょんなことで東大出身ということがバレ、それ以降周囲から「珍しい人、変わり者」と言われるようになりました。
こんな価値観、早くなくなって欲しいです。
高校生には、大人の期待を満たすためではなく、良い意味で自分の幸福実現を最優先して欲しいです。それが学ぶことの喜びの一つだと思うので…。