テーマ「大学入試問題を素人が解いてみた感想…」
ある友人から「夏休みに、受験生の学習指導ボランティアをしてくれないか」というお話が舞い込んできました。「教員免許を持っていた(失効しました)」「公務員時代に教育行政を担当したことがあった(過去形)」「無職で暇そう(現在進行形)」なのでお願いしたいと言われ、その昔得意だった「国語」「世界史」の過去問を送ってくれたらね…と伝えると、送ってきました。
面白そうなので(笑)、とりあえず解いてみました。
◆目次
現代文しか出題しない私立大学が多い
現代文のみの大学には「文学部」がないことが多いです。
「古文・漢文」の教授がいないのでしょう。つまり「自前で入試問題を作れない」のですね。「古文」はあっても「漢文がない」、「評論」だけで「小説がない」のも、その分野の専門家がいないからかもしれません。
また「評論」の出典が「社会科学系」に偏っている大学は、「文学・国語」ではなく、「経済・法律・哲学」などの人が作問しているのかもしれません。予備校の現代文講師も、そういう人が多いですからね。同様の傾向は「社会科」の科目設定にも感じました。で、問題点は二つ
①大学の都合によって国語の出題分野には「ばらつき」がある。
②センター試験のように「評論・小説・古文・漢文」の出題をするためには、
入試問題を「外注」しなければならない大学がある
というわけで、世間は「国語力の低下」を嘆きますが、その前に「大学が国語の問題を作れなくなっている」という現実もあるのかもしれません。
センター試験と、私大・国公立2次の難易度の違い
私の感覚は「センター試験は、私大・国公立2次より難易度が低い」です。この感覚は、俗に言う難関校だと該当します。しかし「センター試験より難易度が低いと感じる私大の問題」も多かったです。特に古文・漢文。
ただし、私大は合格最低点が高いですから、問題の難易度と大学の難易度とは必ずしも一致しないと思います。とは言え、出典が教科書掲載の問題も多く「大学入学後の学力や日本人としての教養」ではなく「高校時代の学習姿勢」を重視しているんだなと感じました。
というわけでわかったことが二つ
①高校の先生方がセンター対策を重視するのは、
それくらいの学力が付けば、多くの私大はクリアできるから。
②国公立2次の国語や、国語以外の教科でも出題される「記述問題」には、
センター試験とは別の対策が必要かも。
全体に問われているのはオーソドックスでフォーマルな学力
現在の「現浪比」は「6:1」とか。浪人減ったのですね。大学合格者が「浪人生の方が多かった世代」からすると時代の変化を感じます。
当時の入試問題は「重箱の隅を楊枝でほじくるような問題」が多く、出るのは「例外」ばかりでした。しかし今は「基本」が中心ですね。ただし、複数の基本を組み合わせていかないと正解にはとどかない設問が多かったです。そういう意味で、今の方が良い問題と感じました。
①例外的な「知識」はあまり必要ではない
②しかし、「幅広い知識」(単語・文法・用語など)がないと
「思考」に届かない問題も多い
共通テストの試行問題
話題の「共通テスト国語の実用文」とやらも送っていただきました。
同様の問題はないかと探してみると「高等学校卒業程度認定試験(高卒認定)」や、いくつかの地方公立大学の問題に存在しました。
正直な感想を言えばこういう出題をすることで何が?? と感じました。
目的の一つは、法律の条文や公文書などが読めるようになることと伺いました。公務員経験者としては「公文書の方を直した方が」とも思いますが…(笑)
個人的に対策として考えたのは以下のことです。
※「公文書」は「事実と形式」から出来ているので…
①「問題文」からは「事実」を取り出す。
②「設問文」からは「出題条件」を取り出し、
「出題条件(形式)」に沿って答案を作る
要するに「客観」ってことですね。人は「記述」と言われると「自分の考えを書くこと(主観)」に走りがちです。しかし、これが落とし穴。「相手が求められていることの理解と表現」という「形式(客観)」を守ることが大切と感じました。
という素人の感想です。本業の方に失礼がありましたらお詫びします。
そういえば最近「議事録がない」が話題になりました。
議事録(公文書)がないということは、その決定が「事実と形式に基づいていない」ってことなのかもしれませんね…。
本当に共通テスト対策が必要なのは、誰なんでしょう(笑)