テーマ「瀧本哲史さんの著書」
瀧本氏は、昨夏47歳で亡くなられました。
その著書は、現代社会を深くとらえ、示唆に満ちています。その中の一つ「2020年6月30日にまたここで会おう 瀧本哲史伝説の東大講義」が、現在「note」で無料公開されています。
この講義は、2012年に東京大学伊藤謝恩ホールで行われたもの。
今日は、8年前の約束の日。早期退職の心境と重ねつつ、今日はそんなことを。
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◆目次
2011年3月11日、東日本大震災が起きました
その少し前から、私は東北で勤務していました。被災者の救済、支援、復興に微力ながら関わらせていただきました(その時のあれこれは、また別の機会に)。
2011年、あの大震災は確実に日本を変えるきっかけになりました。
2011年以前の世界にあった「過去を根拠とした発想」の矛盾や限界が表面化し、それ以前からささやかれていた「未来を根拠とした発想」が、公的に求められるようになったのです。
それは、津波で失われた街を元通りに復元することが復興のすべてではないということです。目に見えない「人のつながりというコミュニティ」を保存しつつ、「人口減少という未来」「地域の魅力の再確認」「経済的自立ができる産業構造の創出」とを根拠に復興を考えることが求められました。
平成元年(1989年)に社会人になった私は、半沢直樹と同世代です(笑)。
就職した翌年(1990年)、すでに「バブル崩壊の予兆」はありました。若手中心に「このままではマズイ」「新しいモデルが必要」と語り合うことも多かったです。しかし、イケイケの世の中でその声は届くことなく、バブル崩壊に至ります。ただ、バブルが崩壊しても会社は存続できました。
倒産しなかった理由は「バブル崩壊はみんなに起きたことだから」という逆説です。
「崩壊前から対策しないと生き残れない」わけではないのです。「みんな崩壊してから対応を始める」ので「崩壊してから対応すれば何とかなる」という現実がそこにありました。何だかとても日本的ですね(笑)。
もちろん「崩壊してから対応しても遅かった」というケースもあります。それについては「仕方がない」「対応が悪い」「バブル崩壊の悲劇という美談」で結論付けられ、それが「多数決」になったと感じています。そう考えると、日本人は「バブル崩壊から何を学んだのか」という疑問が湧いてきます。
約束された未来の喪失
バブル崩壊で学んだのは「約束された未来の喪失」です。
「約束された未来」には「成功の法則」もありました。しかし、その法則もなくなりました。ということは、そこに「カリスマ指導者」も「絶対的正解」もないのです。
バブル崩壊以降感じていたのは、一人の上司の判断に全てを依存すること、多数決による決定は、チームをミスリードする結果につながりやすいという危機感です。民主主義のデメリットですね。それは近代の歴史が証明しています。第二次世界大戦がどのように起きたのか、ヒットラーはなぜ登場したのか、日本が太平洋戦争に進んでしまったのかなぜか…。そんなことから学ぶことができると思います。
それがわかっていても、仕事で現実化すること、現実にあてはめて生活することは難しかったです。
約束された未来と正解が喪失した時代の生存戦略
津波で姿を変えた街、体育館で生活する人を見て、途方にくれました。無力でした。
しかし、避難所となった体育館で、中学生・高校生が誰の指示を受けることなく、自主的に食事の手伝いをし、子供たちと遊び、お年寄りとおしゃべりする姿を見て、若者の未来を根拠に発想していくことを思い出しました。そのためには、自分自身をアップデートする必要もあります。
ここまで、自分の専門性を頼りに転職・転勤生活を送ってきました。しかし、それだけでは先細りになりそうです。年齢的にも、上司と若手の間に入って調整するスキルが求められるようになりました。学ぶこと、考えることはたくさんあり、そうやって、自分の裾野を広げることが未来のために必要なことがよくわかりました。また「やり方」だけでなく、「あり方」を磨くことも身に沁みました。
瀧本哲史氏の作品を読んで
現代社会は、不寛容な対立に満ちています。
例えば、新型コロナウィルスへの対応にも、多様な意見の対立を感じます。そのどちらの価値観も何となくわかります。古い価値観は体験的に、新しい価値観は学びの成果として。しかし、対立の中で正解を選択するのではなく、もっと大きなビジョンで未来を考えることの大切さ、それが2012年にすでに語られているのです。改めて、そこに込められた意味を考えたいと思います。
思うことは二つ
年齢、過去の不勉強、あり方の未熟などもあり、私自身はすでに賞味期限切れであるという事実。しかし、今は退職して立場や結果から解放された個人なのですから、自分の好きな勉強を続けようと思う気持ち…ですかね…。
今年もちょうど半分。明日から7月です。