テーマ「対立か、協働か」
職場には、異なる年齢・価値観・専門技能・バックグラウンドを持つ人間が集まっています。この多様性が「対立」になるか、「協働(補い合い)」になるか、ここが運命の分かれ道と感じています。
◆目次
ビジョンの有無
仕事とは言っても、そこには個人の価値観ややり方があります。それは尊重されなければなりません。
しかし、それだけだと「対立」に進みがちです。
一方で、仕事に関する「公的なビジョン」があれば、その実現・達成に向けて、個々の能力が発揮されやすい環境が整います。つまり「個人の持つ能力・価値観」が「公的なビジョンの達成」のために発揮されることが可能になります。この時、価値観の違いを超えること(協働)が可能だと思っています。それが「対立」から「協働(補い合い)」に進むということなのかもしれません。
チームビルディング
バブル時代の職場は「封建社会」「上意下達」こそがチームビルディングです。
「見て盗む」「身体で覚える」「気合と根性」の時代。もちろん、そこから先に進む人間は「自分の頭で考えること」ができるわけですが。
その後、就職氷河期の新規採用者は、バブル世代よりも圧倒的に優秀、というのが私の印象です。そもそも、大学がレジャーランドだった時代はとっくに終わり、大学教授の世代交代もあって「大学での学びの水準」も上がっています。その中で勝ちあがってきた若者たちは、特に専門性の部分で優れた資質を持ち、意欲が高く、素直でした。
となると、「年功序列」「上意下達」を尊重しつつも、「個の能力」「ボトムアップ」が職場環境に必要になります。そのためには「チームのビジョン」が必要で、そのビジョンも、上から与えるより、チーム全員で創り上げた方が「合意形成の継続性」が高まります。いわゆる「納得感」ですね。
私も年功序列的に「チームの上の方」になっていました。社外から専門家をお招きしてチームビルディング、ビジョン作りに取り組んだものです。とても楽しい時間でした。
居酒屋ではなく、会議室でコミュニケーションが取れる職場
公私、仕事とプライベートを分ける発想が必要です。
プライベートを大切にすることが、仕事への意欲の低さ、付き合いが悪いという発想から離れることですね。
同僚の中には、19時頃から始まる社外の勉強会に、自主的に身銭を切って参加している者も多いです。自己の専門性に磨きをかける者、ファシリテーションを学ぶ者、大学院に通う者…年齢に関係なくそういう人が増えてきています。
となると、個人を拘束する時間は最低限にしつつ、チームとしての機能を高める必要があります。
そういう職場に転職できた人は、何だかとても楽しそうです。
個があって会社があるという発想へ
かつて日本軍は、本土を守ると称して沖縄を利用しました。国を護ると称して若者を特攻隊にしました。政治家の不正は秘書が被りました。
これらは「組織のために犠牲になることが忠誠心」という価値観です。
この価値観を悪用するといつか来た道の再現です。
バブルが崩壊して、山一證券も日本興業銀行もなくなりました。会社があって個人があるという謙虚な気持ちは必要だと思います。しかし、会社がなくなってしまう方が先だったという歴史的事実もあります。
働き方改革の入り口は、「個」からの発想だと思います。そして、ビジョンを共有した個の能力が開花すると、すごいチームになります。そういう組織が、これから生き残っていくのではないかと思います。
転職組は外様、余所者です。小さな村に不意にやってきた旅人です。転職者にも対人スキルは求められます。
これに加え、迎える側にも「個~チーム」「ビジョンの共有」などの価値観があるかどうか、ここが転職のポイントと個人的に感じています。