55歳で退職したおじさんのブログ

投資・副業・役職経験のない平凡なサラリーマンでした。贅沢しなければ辞めても暮らせる程度に貯まったので早期退職。「健康で文化的なビンボー生活」を楽しみつつ、旅行、沖縄、小説、アーリーリタイア、健康、メンタルヘルス、シニア、ライフスタイル、不動産購入、ブログ、日々の暮らしなど記していきます。

沖縄への移住・定住を考える その2

テーマ「沖縄定住を諦めたのは…」 

 沖縄ファンには怒られそうですが、沖縄に住んでみて定住は諦めました。

 少し言葉になってきたので、当時の心境を振り返ってみます。

 

 

 

とても楽しい沖縄生活なのですが、なぜかとても疲れる…

 仕事に不満はなく、周囲にも恵まれ、とても充実した日々でした。ただ、今までになく疲れが溜まるのです。

 転勤慣れしていたとは言え、年を取ると新しい環境に慣れるまで時間が掛かります。加えて、気候も違いますし、食生活も多少変わりました。お仕事も「新しい試みとなるプロジェクト」という性格を帯びていますから、実行以前に「調整」に多くの労力を費やします。そんなこんなかな…と思っていましたが、どうもそれだけではないようです。

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最初に気付いたのは赴任からほぼ1年経ったある日

 沖縄赴任1年目の3月、東京出張がありました。

    赴任以来、初めて沖縄を離れたのです。

 羽田から京急に乗り換えて品川駅に降りた時、何だか、ホッとしたのです。以前の職場に顔を出し、夜は久しぶりのメンバーで飲み、気づいたのは、自分が久しぶりにリラックスしていることでした。私、沖縄では非常に緊張して過ごしていたみたいです。

 

ある同僚

 職場に関西から赴任してきた若手がいました。初めての転勤ですが、人当たりがよく、真面目な性格で職場にも溶け込んでいました。その彼ですが、私と二人だけの場面になると突然、人が変わったように沖縄の悪口を言い始めるのです。内容は時間のことなど、沖縄あるあるです。その内容は確かに「正論」です。しかし、彼が否定する沖縄の習慣・文化には、人間関係や社会生活を営むための知恵が内在します。そういうものを受け入れ、ギアをあわせながら仕事・生活をすることが必要だと私は考えていました。また、それは「沖縄固有の課題」ではなく、日本中どこでもあることです。例えば関西出身の彼が東京に転勤になれば、今度は東京あるあるを言うでしょう。そもそも、沖縄の良さを楽しみ、活かすことで生活も仕事も充実すると思うのですが…。

 しかし、彼の沖縄を否定する言動は止まりませんでした。それは私の前だけです。移住者だからわかるでしょ…という気持ちが彼にもあったのでしょう。また、彼も悩んでいたのかもしれません。ただ、職場・地元の人の前では、実に爽やかにふるまうのです。

 最初は聞き流していました。たしなめたこともあります。それでもやまない彼の言動に、私の心身が悲鳴を上げました。 

 

沖縄の歴史を学び、本土と沖縄の関係を知るようになる

 なぜ沖縄が戦場になったのか、日本軍が沖縄で何をしたのか、なぜ沖縄に基地が多いのか、辺野古とはどういう場所なのか…。沖縄について学びを進めるとこのような問いが生まれ、その理由を知るようになってきます。こうした事実は、仕事を進める上でも、特に地域との関係の中で浮かび上がってくることがあります。そして、個人の思いと仕事上の立場が矛盾するのです。

 ただ、こうした矛盾は地元の人も抱えています。例えば本土の高校生の沖縄修学旅行。そのテーマが沖縄戦・戦争の悲劇だけに集中し、沖縄の文化・自然などの魅力が伝わらないことは残念だと言います。しかし、沖縄の過去が忘れられること、無視されることはあってはならないですし、沖縄の歴史にあるデリケートな部分に無神経であってはならない…何より「沖縄への敬意」を持つことが大切だと感じつつ日々を送っていました。

 そんな時、沖縄に対する敬意がない施策や人について相談されることが増えてきました。沖縄の人は優しいですから、穏やかに伝えてくれますが、その優しさに甘えている当方に非があることは明らかで、その対応に悩みました。 

   

今思えば、ただ沖縄を愛すればよかった

 地方が抱える課題というのがあります。それは日本全国どこでも同じで、沖縄だけが特別な課題を抱えているわけではありません。そもそも地方の課題とは都会の価値観から見たものであって、その土地では大切にすべき知恵であることも多いのです。しかしそれらは、島だから、南国だから、東北だから、関西だから、田舎だから、沖縄だから…で括られることがあります。そんな発想の中、私は一人悩みを抱えこみました…。実は、沖縄の方も同様に葛藤を抱えているのです。そこに気付き、私は地元の人と一緒に、ただ沖縄を愛すれば良かったのですが…、当時の私はそこに思い至ることができませんでした。 

 

沖縄という非日常

 私の日常は「仕事・東京」です。これに対し、「沖縄・やんばる」は「非日常」です。私にとって「沖縄」は「非日常」だからこそ、魅力を感じ、癒され、欠かせない存在だったようです。このことに気付いた時、自問自答しました。「仕事、東京」という日常を捨てた時、「沖縄・やんばる」は自分の日常になるのか…

 結論は、沖縄を「日常」にすることは難しいでした。本当に残念であると同時に、沖縄に申し訳ないと思います。しかし、私は「都会に住んで、田舎に遊びに行く」が合っているようなのです。つまり、離れた場所で暮らし、時々遊びに来る方が、沖縄と長くつきあっていくことを可能にするということです。

 

 という長い話で申し訳ありません。

 書いているうちに、いろいろなことを思い出しました。

 沖縄で出会った方に、改めて感謝申し上げます。

 そして、沖縄を日常に出来る方は、ぜひ、移住・定住して、沖縄の日々を楽しんでいただきたいと思っています。