テーマ「背伸びせず、無理せず、淡々と」
ファイナンシャルプランナーから、退職後の生活費のボトムラインは「250万円/年」と聞きました。例えば、無職で10年暮らすためには2500万円が最低必要ということですね。前回述べた月16万円生活の実現から、早期退職のための資金形成に取り掛かります。
基本的な発想
◆投資・投機はしない
株、外貨貯金には走らない。理由は簡単、今までやったことがないから。始めた直後、リーマンショックがありました。もし株に手を出していたら、今の暮らしはなかったでしょう。
◆財形貯蓄を活用
財形のメリットは、源泉徴収で自動的に口座に流れていくこと。ちなみに、キャッシュカード使えば簡単に下ろせますが、敢えて作りませんでした。
この頃の暮らしは
東北に赴任して数年経過し、もう東京に戻らず東北に定住しようと決めた頃。
人生初の不動産を購入し、家賃を払う暮らしは終りました。その代わりマンションの管理費・修繕積立金・駐車場の月3万円、固定資産税、ローンの支払いが始まります。
ローンは、住宅ローン減税で少し取り戻しました。数年後には繰り上げ返済で完了しました。資金は老後資金から。ローンを払いつづけることと、繰り上げ返済をしてローン支払い分を貯めていくことと、比較すると後者の方が良かったのです。
実際にはうまくいかないことも多い
当時公務員でしたが、給与は頻繁に下がりました。人事院勧告による民間との格差解消です。リーマンショック後は、毎年勧告による減俸でした。東日本大震災の復興財源の徴収もありました。国や地方の財政難による減俸、厚生年金の一部廃止、退職金の一律カット、昇給の55歳停止などが決まっていった頃です。
また、リーマンショックや震災を背景に、多忙化(残業195時間/月はこの頃)、身体を壊しての長期入院、家族の問題もありました。責任や立場が大きくなり、自分の身の丈以上の仕事が降ってくる、自分の時間を楽しむことができなくなってくる…。これは40代の通過儀礼かもしれません。そんな中、臨時出費もありますし、月16万円を超える月も多くなります。
めげずに資金形成を続けることができたのは
◆臨時出費があっても月16万円を超えても、怒らない
うまくいかないことがあっても生活の枠組みは変えないことです。
春・秋は電気を使わないので16万円以下で済むこともあります。少し面倒ですが、住宅ローン減税、高額医療費申請(入院時)、確定申告(医療費控除)、住んでいる自治体独自の補助(省エネ家電買換補助金)など、公的制度を活用して、お金を取り戻すこともできます。なにより月16万円は「手段」であって「目的」ではありません。そう考えることで心の余裕を持つことができました。
◆貯める生活だからこそ、楽しみを作ること
とは言え、月16万円生活には修行・禁欲の匂いがします。断捨離以降、部屋は快適、老後資金は貯まっていく、マンションのローンも終わるで、解放的な気分にはなりました。しかし、非日常的な時間、祝祭の日がないと人間息がつまります。そんな時…
東北地方のある温泉地にあるリゾートホテル。その1室を買わないかと誘われました。自宅から2時間。温泉あり。スキーリフトが無料。価格は100万円。新潟県越後湯沢のリゾートマンションが、負動産と言われ投げ売りされていますが、それに近い感じ。分譲時は〇千万円とか…。これ購入しました。
身体を壊した時の療養、震災時の家族の避難場所、お盆と正月、ふとできた休日など、ここで過ごしました。ホテルなので掃除・洗濯はついてきます。オーナーなので、宿泊費の支払いは不要、チェックイン・アウトの時間が自由、思い付いた時に利用できる。家事から解放され、自然と温泉に癒される。
100万円の投資で手にした二拠点生活は、しんどい気持ちを切り替え、身体のリフレッシュを可能にしてくれました。これが、資金形成のための生活を長期間維持することができた大きな要因でした。貯める生活だからこそ、楽しみを作ること、無駄な我慢はしないことが大切。これが個人的な教訓です。