今日のテーマ「マイナンバーカードは便利だけど面倒」
特別定額給付金の申請が始まり、マイナンバーカードのことで役所が混んでいるという記事を散見します。そこには、いろいろな誤解や思い込みがあるようです。もちろん、特別定額給付金は、より早く困った人の手元に届くべきです。しかし、給付を担当する自治体の現場が本件による混乱で疲弊し、給付事務に悪影響を与えることは特別定額給付金の趣旨に反します。
目次
1、まず、マイナンバーカードについて知りましょう
www.kojinbango-card.go.jp
2、今、特別定額給付金をマイナンバーカードで申請してはいけない人
◆郵送を選択して欲しい人とは…
①現時点で、マイナンバーカードを所有していない
発行は、通常でも1か月かかります。今はもっと時間が必要だと思います。
②現時点で、カードリーダーを所有していない
マイナンバーカード用のカードリーダーは、すでに品薄状態です。
私が使っているNTT製のカードリーダーは、家電量販店・ネットで2500円程度です。
それが5月になって価格が上昇し、ネット上ではすでに1万円をこえています。
③所有しているスマホが古い
カードリーダーなしでも電子申請はできます。ただし、電子申請に対応するスマホであることが条件です。スマホがあれば何でもできるわけではないみたいです。
④ネットで買い物、イベントの申し込み、納税などの経験がない
例えば、スマホを使いこなす高校生でも、大学受験のインターネット出願を自力で完了できる人はそんなに多くはありません。こうした経験がない人、慣れない人にとって、ネット申請は理解しにくく、難しく、イライラするものものです。まして電子申請が初めてなら尚更。郵送された紙の申請書に書いた方が早いです。
⑤マイナンバーカードのパスワードを覚えていない
マイナンバーカードには複数のパスワードがあります。その中で、特別定額給付金の申請には、以下の2つのパスワードが両方とも必要です。これを覚えていない、曖昧な人は、郵送を選択した方が早いです。
⑴ログイン用のパスワード(4桁のパスワード)
⑵電子証明書の署名用パスワード(6桁以上のパスワード)
3、現時点では、マイナンバーカードの方が早いわけではない
私は5月1日から申請が始まった自治体に住んでいます。そこで、2日に電子申請を済ませました。一方、郵送の申請書は、連休明けの7日に届きました。つまり、5月1日から申請可能になった自治体では、マイナンバーカードの電子申請の方が早いと言えるでしょう。
しかし、すでに連休が終わった今、電子申請と郵送のタイムラグはそんなに大きなものではありません。また、電子申請でも、郵送でも、給付は申請受付から3週間後という表記は共通です(私の暮らす自治体の場合)。
4、マイナンバーカードを持っている人でも、最近転居した人は要注意!
①マイナンバーカードには複数のパスワードがあります
◆特別定額給付金の申請には、以下の2つのパスワードが両方とも必要です。
⑴ログイン用のパスワード(4桁のパスワード)
⑵電子証明書の署名用パスワード(6桁以上のパスワード)
署名用パスワードは、5回連続で誤入力するとロックがかかります。このロックを解除しパスワードを新規に設定するために、役所での手続きが必要です(セキュリティ維持のための措置ですね)。
②電子証明書の署名用パスワードには期限がある
⑴マイナンバーカード申請から5年目の誕生日までです。
それを過ぎている人は、役所で手続きが必要です。
⑵転居した場合、転入先の役所でパスワードの確認手続きが必要
これについて、ちょっと詳しく述べます。
5、電子証明書の署名用パスワードについて
◆私の周囲にも、電子申請の際、ここでつまずいたという人がいます。
その原因を整理すると
①ログインパスワードは憶えていたが、電子証明書の署名用パスワードを失念した。
②5年の期限をこえていた
③転居すると電子証明書署名用のパスワードが無効になる…と役所の窓口で言われた。
転居すると電子証明書の署名用パスワードが無効になるとは?
◆真相はこういうことみたいです。
①マイナンバーカードを発行した後、転居・婚姻等によって住所・氏名が変わった
②その際、窓口にマイナンバーカードを提出しなかった
③すると、「マイナンバーカードのデータ」は更新されないままになる
④その結果「マイナンバーカードのデータ」と「住民票の記載内容」とが異なった状態になってしまう
⑤セキュリティ維持のためパスワードが無効になる
◆この場合、役所でデータを更新し、その後パスワードも更新すれば解決できます
ただし、今はこの窓口、手続きが混雑しているということですね。
6、転居、婚姻などの際の「マイナンバーカードのデータ更新」について
①転出届、転入届、婚姻届けとマイナンバーカードを一緒に窓口に出せば良いだけ
ICチップのデータが更新され、転出先でカードの表面に新住所が追記されて戻ってきます。マイナンバーカードを使うと、ペーパーレスで手続きが済む自治体もあります。
②パスワードは、マイナンバーカード窓口に移動して手続きをする
ログインパスワード、電子証明書の署名用パスワード、両方を確認します。期限切れ、失念の場合は、ここで再設定できます。
7、転勤族だった私の体験に基づいた感想
◆全ての市区町村で共通の手続きが可能ではない
マイナンバーカードを提出しても、ペーパーレスでの手続きができない自治体もありました。また、窓口で、電子証明書署名用の手続きについての案内が、必ずあったわけでもありませんでした。
この差はどこからくるのでしょうか?
①電子証明書は本庁でしか発行できない
そう言えば、政令指定都市、東京23区、人口10万人以上の自治体では、ペーパーレス手続きが可能で、電子証明書署名用のパスワードの案内もありました。一方で、人口規模の少ない地方の町村はそうではなかったことです。
②制度そのものの盲点
マイナンバーカード所有者でも、それを電子申請に使う人はまだまだ少数派です。加えて、電子証明書の署名用パスワードが必要になるのは「e-tax」レベルです。そういえば初期の頃「e-taxしていますか?」と尋ねられました。ここで「いいえ」と答えれば、電子証明書の署名用パスワード確認手続きは省略されたかもしれません。その先にあるのは、パスワードの失効、失念ですね。
マイナンバーカード普及率が高いとは言えない現状で、不要な人にまで全ての手続きを案内するのは難しい判断だと思います。窓口でのパスワード確認手続きにも時間が必要で、混雑時には待ち時間も発生します。これは制度の盲点で、その窓口となる自治体の担当者を責めることはできません。
そもそも「確認は本庁でなければ不可能」なのですから、本庁以外の自治体窓口では案内できないです。
③2020年4月初旬の状況
私はこの春、人口10万人規模の自治体に転入しました。転入窓口でマイナンバーカードによるペーパーレス手続きが終わると、電子証明書署名用のパスワード確認の案内があり、マイナンバーカード窓口での確認作業に誘導されました。スムーズでしたね。
というわけです。
参考までにこんなページがあります。https://www.jpki.go.jp/download/index.html
これを使えば、電子証明書署名用のパスワードが有効か無効かなどを自宅で確認することができます。
ただし、そのためには、マイナンバーカード、専用カードリーダー、事前準備としてソフトのダウンロードなどもが必要です。「慣れた人限定」ですね。
ネット上には「手続きがわかりにくく、進めているうちにタイムアウトした。これは給付金を諦めさせるための政府の陰謀だ」という声もあります。確かにわかりにくいのは事実ですね。何とかして欲しいです。しかし、そのためにセキュリティが犠牲になることは避けて欲しいと思っています。あとタイムアウトは陰謀ではないと思います。アクセスが集中、混雑するとブラウザが「タイムアウト」と表示することがありますから。
というわけで、まず「書類×郵送での申請」からご検討ください。